04.四日目












「ナマエ、どうしたんだ!?」



訓練後、蝉ライナーに会いに行くと、彼は私を見るなり血相変えてすっ飛んできた。






「どうって…?」
「その包帯だ!怪我したのか!?」
「ああ、これ?」



ライナーが飛び回りながら示したのは、私の右腕と頭に巻かれた包帯だった。




「あはは、ちょっと立体起動の訓練でヘマしちゃってさ」
「立体起動…って、あの宙を飛び回るやつか!?」
「うん。ちょっと余所見しちゃってね、アンカー発射し損ねた」
「余所見って、お前…落ちたのか?大丈夫なのか!?」
「地面には落ちてないよ、間一髪だったけど」
「じゃあなんで怪我…!」
「枝で引っ掻いただけ。大したことないよ」






やたらと心配してくれる小さなライナーを宥める。
本当に大したことは無いのだ。
アンカーを出し損ねて落ちたとはいえ、コニーが助けてくれたお陰で地面には落ちずに済んだ。
…元々、的を横取りしようと目の前に躍り出てきたコニーを避けたら、失敗して落ちちゃったんだけど。
傷も本当に些細な傷で、こんな大層な包帯はちょっと大袈裟だと思う。
コニーやサシャがやたら大騒ぎして巻いたら、こうなっただけで。






「だから、本当に大したことないから」
「……そう、か…」




渋々ながらも引き下がったライナーは、未だに私の周りをくるくると飛んでいる。
もう一度、大丈夫だよと念を押すと、不満気な顔のまま、包帯の上から私の頭を撫でた。
包帯越しに、小さな手のひらの温もりが伝わる。
心配してくれているんだな、と思うと、なんだか凄く嬉しかった。






「ありがとう、ライナー」





小さな彼を見上げると、ライナーは照れ臭そうに笑った。










love for a week 4/7



(その笑顔にときめいたのは、きっと彼があのひとに似ているから、だと思う)