01.一日目
あれは、丁度一週間前。
今日と同じ、空の澄んだ暑い日だった。
訓練の合間、顔でも洗って涼もうと、訓練所から少し離れた川へ向かっていた。
周辺に生えた木々の隙間から放たれる、途切れる事のない蝉の合唱を聴きながら歩いていた時。
一風変わった其れを、私は耳にしたのだ。
「ラーイライライライ」
「…え?」
「ラーイライライライ」
辺りを見回して、私は目と耳を疑った。
他の蝉とは違う、異質な鳴き声と、異質なその姿。
有り得ない、と思ったと同時に、何故だか、綺麗だとも思った。
きっと、私の大好きなあの人に似ていたからだろう。
そう、その蝉は、似ていたのだ。
その声も、その顔も。
私と同じ104期訓練兵の、ライナー・ブラウンという男に。
love for a week 1/7
(これが、私達の出会いだった)