07.かえりみち



どうやら守君はもう事実を話していたようで、私の目論見も虚しく、既に部内全員に知られていた。
皆に本当の事言っちゃって、私が変な子みたいな目で見られたらどうしてくれるんだと思ったけど、流石は雷門サッカー部、というか。
宇宙人やら神様やら(偽者だったけど)を相手にサッカーしていただけあって、異世界人もあっさり信じてくれたらしい。
純粋過ぎるよ、君達。
おかげで、特に嫌悪される事もなく、寧ろ皆好意的に接してくれた。
他の生徒には絶対に他言しないという事も約束してくれたし。
しかし、やはり好奇心というものも多大に抱いたようで、私の事や元の世界について、怒濤の質問攻めを受けたけど。






「なまえ、今日はどうだった?」


帰り道、守君が訊ねる。
風丸君と同時に、真ん中を歩く彼を見やった私は、今日一日の出来事を思い返した。
初めての転入、風丸君の案内、クラスやサッカー部の皆との出会い。
今思うと、緊張してばかりだった気もしないでもないけど。


「良いとこだろ?雷門は!」

そう言う守君は、本当に雷門サッカー部が好きなんだな、と思った。



「うん…色々不安はあったけど、結構楽しい、かも」
「そっか!」

良かった、と守君が笑う。
うん、本当に良かった。
馴染めなかったらどうしようと思ってたけど、皆いい子ばかりで、全然そんな心配は要らなかったみたい。
クラスでも友達出来そうだし、サッカー部の皆とも仲良くなれそうだし…



「……」
「皆良い奴ばかりだろ…って、なまえ?」
「どうかしたか?」

突如俯いて黙りこんだ私の顔を、二人が覗き込む。
此方を見る二人を交互に見やって、少しだけ間を置いて、考えて、そっと呟いた。





「…私、サッカー部、入ろうかなあ」
「「え」」



目を丸く、大きく見開く二人。
え、何その反応。


「何その顔、私そんな変なこと言った?」
「あ、いや、そうじゃなくて」
「ほ、本当か、なまえ!」
「え、うん」
「…みょうじ、円堂に言わされてないか?」
「え?言わされてないよー、変な心配するなぁ風丸君。私サッカー好きだし、そりゃあ流石に選手は無理だけど、マネージャーなら出来そうだから。私がやってみたいの」
「…そうか。まあ、みょうじが自分で決めたなら、歓迎するよ」



にこりと笑う風丸君の隣で、守君も喜んでくれた。
良かった、歓迎してくれて。
ほっとして微笑み返すと、守君は明日入部届け貰いに行こうな!なんて笑った。