02.不可思議へようこそ




「……なんか、雰囲気違くない?」


イヴとの待ち合わせ場所へ着いた時、強烈な違和感を感じた。




……なんだろう、この感じ…


よく解らないけど、なんかおかしい。
…取り敢えず、イヴはまだ戻って来てないみたい。
とにかくイヴを探さなきゃ。

言い知れない不安と恐怖に襲われ、私は美術館の中を走り出した。













「なんで、なんで居ないの…!」



二階も一階も全部見て回ったけど、イヴは何処にも居ない。
イヴだけじゃない、父さんや母さんも、受付の人も、沢山居た他の観覧者も。
誰一人、姿が見えない。




「どういう事?なんなのこれ…」


先程の違和感の原因は分かったものの、一体何が起きているのか。
なんだか暗いし、出所の解らない物音や声がするし、それに…

絵が、作品が、…なんだか気持ち悪い。
絵画に見られてる、みたいな…
よく解らないけど、そんな気がする…




「……気持ち悪い」


その不気味さからなんとか逃れようと、更に足を早めた。








「…あ、そうだ、外…出れないかな」


ふと思い付いて、入り口扉へ向かう。
手を掛けて見ると、まあ、案の定というか、押しても引いてもびくともしなかった。


「もー、どうなってるのこれ…」

いい加減この雰囲気に慣れてきた私は、ぶつぶつ悪態を着きながら、受付に凭れた。







「…あれ?」


ふと受付の中を覗いてみると、また違和感。
……なんで、こんなところに階段が?

カウンターの中へ入ると、何故か下へ向かう階段が続いていた。




「…よく解んないけど、行ってみる…しかないな」


もしかしたら、イヴや母さん達が、居るかもしれないし。
私は、意を決して足を踏み出した。