イェーガー争奪戦

ブラコン妹主VSミカサ
※二人ともエレン厨。
※アルミン視点













「お兄ちゃーん!」



訓練を終えて食堂に入ると、中からエレンを呼ぶ大声が此方に駆けてきた。





「お兄ちゃん、訓練お疲れ様!一緒にご飯食べよう!」
「駄目、エレンは私と一緒」
「は?あたしと食べるんだから、ミカサどっか行っててくれない?」
「ナマエこそどっか行ったら?ていうか105期生食堂に帰れ」





目を合わせた瞬間、ばちばちと弾ける火花。
ああ…また始まった。
毎日恒例の、エレン争奪戦が。
ちらりと横目にエレンを見やると、またかよ、と呟いて呆れた顔で二人を見ていた。






「皆で一緒に座れば良いだろ…」
「嫌よ!お兄ちゃんと二人がいいんだもん!」
「エレン、ナマエは104期生ではないんだから、ここに居るべきではない」
「そんなの関係無いわ!兄妹が一緒に食事するのは、当然でしょ?」
「それこそ関係無い。規則は守るべき」
「規則は破る為にあるのよって友達が言ってたもん」
「どうでもいいから早く食べようぜ…」



気怠そうなエレンの言葉に耳を貸す様子もなく、二人の言い争いは更に熱を帯びていく。
次第に声も大きくなっていき(ナマエの声ばかりだが)、食堂中に響くくらいの大声へと変わっていった。






「あたしだってお兄ちゃん心配だもん!」
「私が付いているから問題ない」
「ミカサが居るから心配なんだけど!変なことばっかりするし」
「変なことなんてしてない。私はエレンを守っているだけ」
「あたしはミカサからお兄ちゃんを守りに来てるんだけど」
「問題ない」
「問題大有り!週一でお兄ちゃんのパンツ盗ってるの知ってるんだから!」
「えっ」
「盗ってない。借りてるだけ」
「通りで最近よく失くすと思ったら…お前が盗ってってたのか?」
「エレン、盗ってない。借りてるだけ」
「許可なく持って行くのは盗ってるのと同じでしょ!変態!」
「三日に一度エレンの布団に潜り込んでるナマエの方が変態」
「あたしは妹だから良いのー。ていうか、ミカサだって二日に一回してる癖に!」
「……お前ら…」





突如始まった暴露対決に、遂にエレンが頭を抱えてしまった。
恥ずかしげもなく恥ずかしい事をべらべらと話す二人に、周りは皆既に呆れ返っている。
初めこそ宥めたり野次を飛ばしたりと面白そうに観戦していた皆も、こう毎日になると慣れたのか呆れたのか、今では誰一人構う者は居らず完全に食堂の風景に溶け込んでしまった。
白熱していく二人を止める者も当然居ないまま、彼女らの暴走は更に悪化していくばかりだ。






「ああもう、埒が空かない!もうこの際二人っきりじゃなくてもいいわ、取り敢えずミカサだけでも排除する」
「その喧嘩買おう」
「お前らもうホント勘弁してくれよ…」
「……はあ」








もう駄目だ。
二人とも、完全に周りが見えていない。

諦めて辺りを見回すと、食堂内に居る殆どが既に座って食事を始めていた。
僕もそろそろ席に着いておこう。これ以上巻き込まれるのはごめんだ。
そっと三人の傍から離れ、小さく手招きをしてくれたマルコの隣に座った。
















ガチャッ








「……貴様ら…何を騒いでいる?」
「「「あ」」」





座ったとほぼ同時に、食堂の扉が開く。
あれほど騒がしかった室内が一瞬にしてしんと静まり返り、キース教官の声が響き渡った。





「き、教官殿…!」
「また貴様らか…どいつもこいつも、余程走るのが好きらしいな」
「いえっ、あの、これは…」
「言い訳など要らん。ミカサ・アッカーマン、エレン・イェーガー、ナマエ・イェーガー。貴様ら全員、飯抜きだ!今すぐ朝まで走ってこい!!」
























いつも結局こうなるんだから、皆そろそろ学習してくれないかなあ。









イェーガー争奪戦