手に入れた強さ
「なあ、なまえ。俺、強くなっただろ?」
笑い掛けた先の瞳が、黒く揺れる。
「お前の為に、強くなったんだ」
小さなか弱い肩が、震える。
「これからはずっと、俺がなまえを守るから」
差し出した手が、振り払われた。
「ああ、怒るなよ、なまえ」
無理矢理、彼女を抱き締める。
「寂しい想いさせてごめんな。でも、これからはずっと、一緒だから」
腕の中で藻掻く、愛しいなまえ。
「なまえ、どうして、嫌がるんだ」
覗き込んだ顔は、何故か、恐怖に歪んでいて。
「……なまえ、好きだ、なまえ」
なまえ。なまえ。
俺の、俺だけの、愛しいなまえ。
こんなに、愛してるのに。
「どうして、なまえ、ねえ、どうして、」
どうして、俺をそんな目で見るの。
君のために、手に入れた強さなのに。