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「静雄さんの誕生日、今日なんですか!?」

『うん、確かそうだったはず』

「ち、ちなみにセルティさんはもうプレゼントの用意は……?」

『してあるよ。格好いいライターを見つけて、それにしたんだ』

「そ、そうですか……」

『もしかしてあなたも静雄にプレゼントを考えてる?』

「え? はい、偶然でもこうして聞けたし、いつも凄くお世話になっているので」

『そっか』

「何をあげたら喜ぶかなあ……」

『あなたからだったら何でも嬉しいと思うよ』

「出来るなら最良の物をあげたいですから! あ、サングラスとかどうかな?」

『あ、それ良さそ――』

「うーん、静雄くんのサングラスって確か弟くんから貰った大切なものだったと思うよ」

『新羅、いつの間に』

「太刀打ち出来ない相手ですね……それは」

『それなら何がいいかな……』

「うん、いっそのこと今日一日静雄くんについて歩いて、それを見極めてみたら?」

「静雄さんについて?」

「そう。直接静雄くんを見ていた方が彼も幸せ……じゃなかった、何を普段使っているかとか、何が欲しそうかとか、分かると思うよ」

『なるほど!』

「ご迷惑にならないでしょうか?」

「ああ、その点に限っては大丈夫じゃないかな、むしろ歓迎というか」

『新羅!』

「はーい」

「じゃあ早速静雄さんのところに行ってみようかな。助言、ありがとうございました!」

「行ってらっしゃいー」



「さて、携帯っと」

『お前の魂胆が読めたぞ、新羅』

「本当かい!? 僕ら意思疎通まで完璧、お似合いカップルだね!」

『またそう言う……でも、新羅にしては、センスの悪くないプレゼントだと思ったよ』


♂♀


(静雄さん、どこにいるかな)

「よう」

「!? ……あ、静雄さん、今日お仕事は?」

「ん? ああ、丁度休憩に入ったところだ。夕方まで暇してんだよ」

「え、そうなんですか? あ、あの、でしたらそれまで私とぶらぶら歩きませんか? どこかお店入ったり、食事したり……」

「……おー、いいぞ」

「本気ですか!? やった!」

「で、どこか行きたいところ、あるのか?」

「うーん、特に決めてませんが……あ! 雑貨屋さんなんてどうですか?」

「分かった。んじゃ、行くか」

(……って、あれ? これって静雄さんが私の合わせてない? あ、あれ?)

「そういや、最近また姿見せなかったな。どっか行ってたのか?」

「え、あー……じ、実家に?」

「そっか」

「静雄さんは実家に帰らないんですか? その、今日とか」

「ん? まあ、仕事だしな」

「それもそうですね……」

(自分から振っておいてなんだけど、当たり前のことだったな……)

「ここなんてどうだ?」

「わあ、ファンシーショップ」

「嫌いか?」

「いえ……私は嫌いではありませんが、その……」

(静雄さんの欲しそうなものは絶対にないだろうなあ……)

「入るか?」

「あ、えと、今はもう少しシンプルな気分といいますか……」

「じゃああっち行くか」

(なんか、冗談抜きで静雄さんに気を使われちゃってるよ!?)


♂♀


「む、無印良品!」

「どうだ?」

(大人の男性に対しての誕生日プレゼントにしてはお粗末過ぎない? ……あ、でも少し高めなら、シンプルだしセンス悪くないかも。空気清浄器とか)「静雄さんの家は乾燥とかしてませんか?」

「俺んち? どうだろ、気にしたことねえな……喉とか痛くなったこともないし」

(池袋最強の男の名は伊達じゃない……!)

「そ、そうですか……」

「……」

「? 静雄さん?」

「あ、わりい。何でもねえ」

「? あ、そうだ! 服とか見に行きましょうよ!」

「ん? 分かった」

(それなら静雄さんの好みも顕著に……)


♂♀


「ですよねー……」

「? なんだ?」

「いや、さっきまでの流れで、女性物のお店に来ることは明白だったのに、気付かない私馬鹿だな、と」

「お前が男物の服を着てどうすんだよ」

「本当ですね……」

「あ、これとかお前に似合わねえ? なんかふわふわしてんの」

(静雄さんから見て、私の印象はこうなのか。でも)

「可愛いですね」

「……折角だから買ってやろうか?」

「え゙!? それは本末転倒ですよ……!!」

「ん?」

「あ、いえ……そんなの悪いですから、大丈夫です」

「そっか……」

(ええー!? 静雄さん、何処と無く落ち込んでない!?)

「あ、あの、服は悪いから! 他の物だと嬉しいです……!」

「そうか? じゃあ何がいいんだ?」

「え……け、携帯……ストラップ、とか?」

「よし、分かった。行こう」

(ち、ちっとも良くないーーー!!)

「あ、あの! 静雄さん!」

「なんだ?」

「今日……今日はやめにしましょう、ね? 次回の時にでも……」

「それ、いつ? お前、すぐにいなくなるしなあ。」

「うっ……」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「……ぶっ!」

「静雄さん?」

「わりい……少し苛めすぎた」

「え、苛めすぎた……って?」

「ストラップ、買いに行こう。そしたら話す」

「わ、分かりました」


♂♀


「お前はどれがいい?」

「でも……」

「いいから」

「じゃあ、これが……」

「分かった。……俺はこれがいい」

「え?」

「携帯ストラップ。お前からの誕生日プレゼントは、お前と色違いのこれがいい」

「誕生日プレゼント……って、えっ? 静雄さん、知っていたんですか!?」

「ああ、新羅からメールが届いて。お前が俺の誕生日プレゼントを考えてるってな」

「し、新羅さんー……!」

「でも、俺は自分の誕生日に、こうしてお前と色んなもんが見れて楽しかったし、お前が俺のために必死になって探してくれたのも嬉しかった。サンキューな」

「うっ……」

(そんな満面の笑顔で言われたら、何も言えないじゃないか……!)

「だから、このストラップは俺からの礼。で、お前からは色違いのこれが欲しい」

「……分かりました。私も、嬉しいです」

「ん、良かった」

「静雄さん」

「?」

「お誕生日、おめでとうございます!」

「……ああ、サンキュー」

シズちゃんお誕生日おめでとうー!今回はひたすらほのぼのを目指しました。新羅からシズちゃんへのプレゼントは、彼女との時間てことで。

何とか今日中に書けて良かったです。



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