呟 |
小話その7、分岐5。 「獅子座のお客様ー」 「はーい」 「……君、獅子座なの?」 「え……獅子座ですけれど」 「何かおかしいのか? 臨也」 「牡牛座のお客様ー」 「はい、こっちです。いや、まあ俺も人のこと言えない星座ではあるし、根拠のない占いめいたものは信じないタイプだけどさ」 「乙女座のお客様ー」 「……はい。そういえば獅子座は“豪快”とか“リーダーシップがある”なんて言われているな」 「合わないよねえ?」 「失礼な」 「牡牛座は“地に足をつけている”とか“純朴”なんだがな」 「水瓶座のお客様ー」 「はい。まさに手前には言われたくねえって話だな。確かにこいつは普段大人しいけど、やる時は結構思い切ったことすんじゃねえの?」 「するな、大胆なこと。……例えばこの現状とか」 「まあ、行動力はあるよね」 「あのですね、獅子座ってよく本で凄く劇的に書かれていたりしますけれど、実際そんなことないですから。他の人と何にも変わらない普通の人生を送っていますよ」 「そんなもんなのか?」 「そんなもんなんです」 「……反動でそうなっちゃったのかねえ?」 「もうそっとしておいてやれ、臨也」 「ところでそれ、乗ってるやつ。カップケーキか?」 「はい。キャラメルクリームが美味しいですよ」 「パフェにカップケーキ丸々一個……さすが豪快……」 「ちょっと食べてみます?」 「いいのか?」 「ねえねえ、俺とドタチンにはー?」 「臨也、俺は別にいらな」 「ドタチンは少し黙ってろ」 「……はあ」 「いいですよ。じゃあみんなで分けましょうか」 「はい、俺一番に貰う」 「あ? 順番なんてどうでもいいだろうが」 「いや、重要だね。一番最初に食べれば野郎と間接キスする事態は避けられる。ま、彼女とは間接キスになっちゃうけれど」 「間接キッ……!?」 「……臨也」 「なに、ドタチン。ドタチンも一番がいいの? 譲らないけれど」 「いや、ガキ臭えこと言ってんなと思ってよ。つか静雄がフリーズしちまったじゃねえか……」 「ああシズちゃん? まあそれが狙いなんだけどね。というかそれだけでキャパ超えるってどんだけなの」 「い、臨也手前……!」 「臨也、静雄を煽るな」 「顔真っ赤になってるよ、シズちゃん。彼女と間接キスしてるところでも想像しちゃった?」 「ばっ……手前! ぜってえ殺す! 今すぐ殺す!」 「馬鹿、止めろ静雄!」 「止めんな門田あぁ……!!」 「……よし、出来た。はい、カップケーキをきっちり四等分に切りましたよー」 「「「……」」」 「お皿出して下さい。えーと、門田さん、静雄さん、臨也さん……っと。はい完了、そして終了」 「「「……」」」 「何か?」 「……いーえ? 何も?」 「サ、サンキュー……」 「恨みっこなしで食べて下さいね。喧嘩なんてもっての外ですから」 「お、おう」 (若干笑顔が怖いが……助かった……) 最近甘いものネタばかりで胸焼けしてきた…(笑) |