呟 |
小話その6、分岐4。 「蟹座のお客様ー」 「はーい」 「乙女座のお客様ー」 「……はい」 「水瓶座のお客様ー」 「はい」 「失礼致しまーす」 「はい、どうも。……君って蟹座だったんだ。なんだか分かる気がするよ」 「え? そうですか?」 「蟹座ってさあ、様々な適応力があるんだよね。色んな環境の変化に強い」 「……」 「確かに 「お前、どこでもやっていけそうな雰囲気あるよな」 「……」 「どうした? 急に黙って」 「……や、やだなぁ、そんな買いかぶり過ぎですよ! あはは……!」 「そうか? 間違っては無いと思うが……」 「いえ、臨也さんが検討違いな事言っているだけですから、本当に!」 「ははっ、君がそこまで必死になって謙遜するなら、そういう事にしておこうか?」 「なんだ、臨也。その何かを含ませた物言い」 「手前、まさかこいつの弱味とか握って脅してんじゃねえだろうな」 「やだなあ、人聞き悪い。俺は別にそんなつもりじゃないよ。……ねえ?」 (うわっ……悪だくみしている目だ……これ以上この話題を引っ張られたらまずい) 「わあっ! このパフェにかかったチョコレートソース、ぱりぱりだー」 「「……」」 「あからさまに話題を逸らしたな……」 「しかもひでえ棒読み」 「へえ、ソフトクリームの冷たさで固めてるんだね。しかもまた大量だ」 「ですよねー……って、あっ」 「どうした?」 「あ、いえ大したこと無いんですが……食べずにいたら下の方にあるコーンフレークがフニャフニャになっちゃったなぁと……」 「? 嫌なのか?」 「嫌ってほどじゃないですけど、どうせならパリパリしていた時の食感も味わっていたかったっていうか……」 「あー分かる分かる。折角そういう物として出来ているんだから、それとして味わいたいと思うよ、俺も」 「俺は多少しなしなになっても味が染みてて好きだけどな」 「何、シズちゃん……今からそんな事言ってると、将来固いもの食べられなくなるよ。それとも早くも隠居宣言? 俺としては大歓迎だけど」 「あ゙あ゙? 安心しろ、少なくとも手前がくたばるまでは現役でいてやるよ!」 (生涯現役……) 「お前はどっちが好きなんだ?」 「え?」 「臨也のようにパリパリした方が好きなのか、静雄みたいにしなっている方が好きなのか」 「まあ私はどちらも嫌いじゃないですよ。そこまで強い拘り無いので」 「まあ、そうだろうな」 「……とまあ、そういう所が君の順応力の高さを物語っているんだよねえ」 「えっ!?」 「ああ……ほんとだ。丸く収まったな」 「ええっ……!?」 「やっぱり謙遜すること無かったじゃないか。お前のそれは長所だぞ?」 「えええー……話が戻っちゃってる……」 「本当に君はその事に関しては頑なっていうか、認めようとしないよね」 「別に……。もういいじゃないですか」 「うん、満足した。君のそんな顔が見られたからね」 「……静雄さん、後で臨也さんのこと一発殴って置いてください」 「ん? おお、一発と言わず殺してやるから安心しろ」 「ははっ、御免被るよ」 (昔から本当にひねくれてるよなあ。臨也の愛情表現って) コーンフレークはしなしなとぱりぱりの中間くらいが好きです。 |