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「………かあ…さん」
優雅に微笑むその顔立ちは、ずっと昔に亡くした母にそっくりで
おぼろ気だったその顔が、瞳の奥ではっきりと輪郭を結んだ
目を離せないでいる俺に、苦笑を浮かべてその人が口を開いた
『…ごめんね、驚かせてしまって。君のお母さんは、僕の末裔なんだ』
「…はぁ……。」
やっとこさ絞り出したただ一言気の抜けたような返事に、その人は再び苦笑いをうかべている
…あぁ…末裔ね……
ということはこの人の血を俺もひいてるの……か……ッ?!
ちょっとまて、末裔…だと?
「ッ…アンタ、何者だよ。」
普通に考えたらご先祖様(本当かどうかは知らない)とご対面してるなんて状況おかしかったわ
この人見た目20代だぞ!?
何納得してるんだ俺!
一瞬でも納得しかけた自分を殴りたい。
『…そうだな、君が今着けているそのリング』
「?」
リングを指さされて、無意識にそれを見やる
『…それを作った人間、とでも言っておこうか』
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