小説 | ナノ

4 side H



「ひかるッッ!!」



目を見開いて僕に手を伸ばした君に




僕もとっさに手を伸ばす




間に合わないと、本能が叫ぶ声を無視して




ただ君の名をさけんだ。




あぁ




どうしたって




僕はこんなにも無力だ




出会った頃と、何一つかわってないじゃないか




10年前のあの日も……彼奴に連れていかれる君をどうすることもできなかった




子どもだったから




なんて言い訳は通用しなくて




僕の弱さはいつも君を容赦なく傷つける




また、またなのか




………もう見ているだけは嫌だ




何もせず、ただ失うだけは




僕は…………!




(君を守りたい…)






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