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「湊斗ッッ!!!」
「ひかるッ!!!」
あぁ、また俺は失うのだろうか。
大切な人を、何もできずにただ……
ふと、おぼろげな母の姿がよぎる
10年前、自ら命を捨て去った瞬間の…
その姿は形を歪めて、
哀光のそれへと変わっていく
胸元から飛び散った紅が目の奥を赤く塗り込めた
神様がもしいるならば
どうしてこんな…
…こんなの、あんまりだ
これ以上奪わないでくれ、連れていかないでくれ、俺の大切な人を
…守りたいんだ、この手で
守るなんて軽々しく言えるほど大人じゃないけど
力もないけれど
けど、今だけは。
(守りたい…!!)
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