zzz | ナノ


▼ はじめまして、恋。



※大人



「ねぇ、名無」
突然来た腹ペコの僕の為に名無はお昼ご飯を作ってくれている。邪魔しちゃいけないと思っているのだけれどつい僕の口は声を漏らしてしまった。彼女の背中で揺れていた髪がふわりと浮いて彼女の視線がこちらを向く。
「なあに?もう少しでできるからもうちょっとだけ待って、」
「あっ、ごめん。そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて?」
こくりと首を傾けるしぐさがかわいいと思った。でも、突然呼び掛けてしまったせいでなにを言ったらいいかわからない。いや、いいたいことはあるんだ。ただなんて言ったらいいかわからないだけで。
呼びかけたにも関わらず何も言わない僕を変に思ったのか手に持っていた木べらをまな板の上に置くと名無は僕の目の前に立った。「熱でもあるの?少し無茶しすぎなんじゃない?」と名無の手のひらが僕の額の上に乗る。それだけで僕の体中の熱が顔に集まってくるような気がした。耳まで熱くて心臓の音が耳のそばにあるみたいに大きく聞こえる。「ね、熱なんてないよ!」僕は慌てて名無の手を剥した。名無はまた首をかしげる。
「あ、あのね、名無を見てると体が熱くなってどきどきして、離れると胸がきゅーって苦しくなってすぐに会いたくなっちゃうんだ。ナビィに聞いても笑って答えてくれないし、でもなんとなく名無に聞くのは恥ずかしくって…」
最後の方は消えるように小さくなっていった。お、男なのに情けない…。未だに顔に熱が籠っていて恥ずかしさから僕は俯いてしまった。
ふと名無がぽんぽんと僕の頭を軽く撫でる。その温度が優しくって僕はちょっとだけ泣きそうになった。
「リンクは急いで大人になっちゃったからなあ。知らないのはしょうがないことだよ」
ゆっくりと顔をあげると名無の顔が思ったより近くにあってびっくりする。そのまま名無は笑って僕のおでこにちゅっと小さな音を立てながらキスをした。…へ?キスをした?
「えっ、あっ、名無っ!?」
せっかく落ち着いてきた熱がぶり返す。僕は急いで手のひらで自分の額を覆った。また心臓がばくばくいって胸がギュってなってでも嫌なわけじゃなくて、あれ、なんだこれ。僕どうしちゃったの!?
「嫌だった?」
少しだけ頬が赤い名無が僕に聞く。僕は勢いよく首を横に振った。おでこを両手で押さえるのはキスが嫌だったからじゃない。なんだか大切にしたくて感触が消えるのが勿体無かったからだ。「今どんな気持ち?」名無はさっきより頬を僅かに赤くした。でもきっと僕の方が真っ赤だ。だからちょっと悔しいけど素直に答える。
「なんだか、ふわふわして胸が苦しくってでもすっごく嬉しい!」
そういうと名無は照れながら笑った。
「それが恋だよ」












タイトルは電波曲が有名な彼女から。





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