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▼ 恋愛病




「今日も…疲れた…」
ぼすんっ、と音を立ててベッドに埋もれる。んん…どうしようこのまま寝ちゃおうかな。
カカリコ村の宿にやっと帰ってきたのに時間はもう夕方。それも遠くの方は紺色になっている。うぅん…今からじゃ名無には会いに行けないかな…。お夕飯の支度で忙しいだろうし、…こんな泥だらけじゃいやだって言われるかも。いや、名無はそんなこと言う子じゃないのはわかってるんだけど僕が…。


相棒も今日は疲れきったのか床に放り投げてある帽子の中で光をふわふわと揺らしていた。ナビィに言ったらなんて言うかな。いつも決まって「会いたくなったら会いに行きまショ!」と言ってくれるけど、いつも突然会いに行って名無は困ってないかな。名無は優しいからそんな表情も仕草もしないからわからない。
でも名無に会いたい。会いたい。前に会ったのはいつだっけ。時間を行ったり来たりしてるせいかわからなくなっちゃった。そう思うとますます会いたくなる。名無は元気かな。怪我とか病気とかしてないかな。してたらヤだな。そしたら僕はすぐに妖精さん見つけてくるよ。
いつも僕を優しく迎えてくれる名無。笑う顔がくすぐったくて見るたびにどきどきする。僕のおでこをツンとつつくのが好きで会うと必ず人差指で突っつくんだ。その指先の温もりがなかなか離れなくて顔全体に熱が広がっちゃう。それは名無にもわかってるみたいでくすくす笑うんだよ。ちょっと納得いかないけどそんな顔も好きだから僕は何も言えなくなる。


もし次に名無に会ったらギュって抱きしめたい。隙間なんてないくらい近くに名無を感じたい。体の、肌の全部を名無にくっつけていたい。………。



「うわぁ!!」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!思わず枕に顔を埋めて誰に見られてる訳でもない赤い顔を隠す。まだ手を繋ぐのだって恥ずかしいのに抱きしめるなんて出来ないよ!ばたんばたんと無意識に足が跳ねる。恥ずかしい!僕は何考えてるんだろう。こんなこと考えてるって名無にばれたら軽蔑されちゃうかな、うぅぅ…。

「リンク…?どうしたの?」
ナビィの声とリンリンという控えめな音が近くで聞こえる。悪い夢を見たの?と聞く相棒に大丈夫、と返して枕から顔を上げた。

「ワッ!リンク、顔が真っ赤ダヨ!熱でちゃった?」
「ううん…違うと思う…」
さっきより高い音でリンリンと音を鳴らすナビィは不思議そうに僕の目の前に羽を下ろす。

「名無の事を考えてて…」
そういうとナビィはさっきまでの調子を捨ていつもと同じように笑い始める。僕は恥ずかしさと顔の熱でうっすら涙目になっていた。

「ホントにリンクは名無が好きなのネ」
「…これが好きって気持ちなんだね。すっごい苦しい」
「フフ、でもきっと名無も同じ気持ちヨ」
「ホントに?名無も僕に会いたいって思ってくれてるかな。ギュってしたいって思ってるかな」
「もちろんダヨ」

だから、今すぐドアを開けまショ。とナビィはドアの方までリンリンと飛んでゆく。もう外は真っ暗だ。こんな時間に行ってもいいのかな。ちょっと躊躇ったけど僕は帽子を拾って部屋のドアを開けた。



いますぐキミに会いたいよ。ずっとキミが大好きだよ。だから、会いに行くよ。






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