第四十八訓 「さくらんぼって、あれ桜の木になるの?」「基本的に種類は別種だよ」
「へっくしゅん!」
「ぶえっくしゅん!!」
「(皆大変そうだねェ)」
今年は例年以上のスギ花粉が舞っているらしく、街を歩けば誰もがあちこちこちで涙と鼻水を流しながら歩いている。
小生は、昔から花粉症にならない性質なのか、いつも通りだが。
「(皆も、花粉症で相手をしてくれないし...つまらないが仕方ないね...)」
花粉の季節が終わればまた相手してくれるだろう。
そう思い、小生は最近増やしたばかりのバイト先へと向かった。
***
「こんにちは屁怒絽さん」
...あれ?返事がないな...
「屁怒絽さーん?」
中にいるのかな?
そう思い、おじゃましまーすと言って、店舗と兼用の屁怒絽さんの自宅の方に向かう。
すると、ドンッと凄い音が響いた。
「!」
その音に慌てて居間の方に向かう。
***
「大丈夫かい?!...って、あれ?」
「あ、朔夜さんじゃないですか」
「「朔夜/さん!?」」「マミー!?」
「...なんで三人が?」
「おや、お知り合いで?」
「あぁ、まぁ...家族ぐるみの付き合いで...って、なんでここに?」
そして理由を屁怒絽さんに問えば、なんでも回覧板を全員で回しに来てくれたらしく、
ついでに仲良くするためにと、もてなすところだったらしい。
「へ〜...珍しいこともあるね」
「ていうか朔夜ッ!なんでんな親しげ!?(そいつは地球侵略に来たんだぞ!?)」
「え?あぁ、ここで最近バイト始めたから」
「「「は...はぁぁああああ!?」」」
「まぁ皆、花粉症で話せる状況じゃなかったし、言ってなかったけどね」
でも驚きすぎでしょ。小生が色んなバイトしてることは知ってるくせに。
そう思いながら言えば、銀時が肩を掴んできた。
「今すぐ辞めろ!お前何考えてんだァァ!!よく考えろ!地球侵略に加担する気かァァ!!」
「はぁ?何SF映画みたいなこといってんだい?」
地球侵略って...小生がそんな中2的なことやるわけないだろ。
だいたいなんで屁怒絽さんの花屋で働いてる話から地球侵略?
確かに顔は強面かもしれないけど、そんなことするわけないじゃないか。
若干冷めた視線を送れば、気付かずに小生の手を掴んで歩きだした。
「ちょっ、ぎん...」
「いいから帰るぞ!(こんな魔の巣窟に置いとけるか!)」
「!っあしも...」
その時――びゅんっ!ドゴォン!!
前を行く銀時の目の前スレスレをお釜が飛んでいき、壁を破壊して飛んで行った。
「...」
「あーあ...」
「危ない危ない、あやうくアリを潰す所でしたよ」
「もう...ダメじゃないか、銀時。気をつけないと」
「(そこで俺が悪い的な!?)」
「まぁ、とりあえず皆さんお座りになってください。朔夜さんもどうぞ」
「あ、ありがとうね屁怒絽さん」
「「「(逃げられなかった...!!)」」」
そして、やたら震える3人と共にお茶をいただいたのだった。
しかし花屋に長い事いたせいか、花粉症がさらに酷くなったらしい銀時達は
しばらく、ほとんど話す事が出来ないほどのくしゃみと鼻水に見まわれていたのだった。
「ふぅ...(しかし屁怒絽さんみたいにいい天人を顔だけで判断するとは...)」
まったく人は見かけによらないというのにね...
そう思いながら、小生は花粉症の季節をすごすのだった。
〜Next〜
prev next