第三十四訓 テレビとか新聞とか、情報収集は重要
「ふぅ...掃除も終わったし、ちょっと休憩しようかな...」
そして居間のこたつに入った。
今日は夜まで休みなので、家の掃除をしていたのだ。
綺麗になって、心もすっきりする。
元々、この家は住人に見捨てられたらしい廃屋だったので、尚更掃除をすると綺麗に見える。
少しるんるんとした気分で、テレビをつけると、ニュース番組の『THE EDO』がやっていた。
しかし今日は普段の内容と違い、特番をやるようだった。
「(なにかあったのかねェ...?)」
『――江戸中で異常発生している巨大ゴキブリについて、徹底討論していきたいと思います』
「...え...」
ご、ごき...いやっ...古代生物兵器G、だとっ...!!
しかも巨大っ!?
思わずその場に凍りつき、テレビにくぎ付けになる。
すると、ば...ハタ皇子が映された。
『さっそくなんですが皇子、アレは本当にゴキブリなんですかね?』
『ゴキブリには違いないが地球産ではあるまい。恐らく地球に入ってきた異星の船と共に入り込んだのじゃろう』
何してくれてるんだ天人...!!
ゴキブリを入れた誰かに、久しぶりに怒りを抱く。
『宇宙ゴキブリというわけですか』
『スペースゴキブリじゃ』
『いや宇宙ゴキブリでいいでしょ』
『スペースゴキブリって言ってんだろ。やんのかコラ。ちょっとカメラ止めろ』
そしていったん番組が終わる。
「...止めて欲しいんだけど...(GとかGとかGとかァァ!!死滅してェェ!!)」
でもこの家は掃除したばっかりだしこないよね...
そう思った時――ガサッ
「!!?」
小生一人しかいないはずの家の奥の扉から物音が聞こえた。
「(ま、まさか...いやでも...)」
そう思いつつ、確認しようと意を決し、扉の方に向かい、思い切り開けた。
そこには――
「キシャァァ!」
「...いゃぁあああああ!!!!」
古代完全体生物兵器Gがいた。
思わず悲鳴を上げ、ピシャァッと扉を閉め、家を飛び出した。
「死んでェェェ!!ごき...Gィィィ!!!」
銀時に退治してもらおう...!!アレはムリ...!!!
そして小生はこれ以上ない速さでかぶき町内をかけていった。
***
ダダダダダ
ガラッ
「銀時ィー!!Help me!!」
ぎゅぅっ
「うぉっ!?お前発音いいな!って朔夜なんでいんだ!?(嬉しいけど今は滅茶苦茶取り込み中!!)」
「!朔夜どーしたアルか?」
怪談をかけのぼり、万事屋に入り、居間の方に見えた銀時の背に抱きつく。
「うぇぇ...!Gの奴が奇襲をかけてきた〜!!」
「なんだお前まだゴキブリ駄目なのかよ...(ていうかここにも酢昆布によって巨大化したゴキブリいんだけど)」
「ゴキブリと言うな!Gと言えェェ!!言ったら出るじゃな...」
抱きしめたまま顔をあげてそこまで言うと、目の前に先程見たものと同じものが倒れているのが見えた。
「あ、やべ...」
「いっいやァァァァァ!!!!気持ち悪いィィ!!Gはダメェェ!!」
再び銀時の背に顔をぐりぐりと押し付ける。
「朔夜、お前落ち着いたキャラ壊れてんぞ〜(すげー嬉しいけど...なんか頼られてる感じで)」
「キャラなんかこの超古代生物兵器を前に気にしてられないよーっっ!!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いー!!」
ほんとGと不潔はダメなんだよ!!
「分かったからちょっと落ち着け。ちゃんと銀さんが退治してやるからな」
「ぜ、絶対だからね...?」
「勿論だぜ(え、可愛いんだけど。何これ?なんて生き物?)」
「(嫌だキモイ恐いG)」
銀時にすがりつき鼻をすする。
「(なんかやっぱコイツ癒されるわー...って、ん?)そういや新八は?」
「見当たらないヨ。銀ちゃん、朔夜...新八まさかコイツに」
「え...!?」
「バカ言っちゃイカンよ。たかだかデカイだけのゴキブリに...」
その時、巨大Gの奴が何かを吐きだした。
それは眼鏡だった。
「「「...」」」
次の瞬間、二人がゴキブリに蹴りを連続で叩きこみだした。
「イヤァァァ!新八君んん!!」
「新八ィィィ!!」
「出せェェェェェ!!てめっ出せコラァァ!!」
「何味だった!?新八は何味だったコルァ!!コーンポタージュか!それともめんたい味なのかァ!!」
「銀ちゃん、朔夜、定春もいないヨ。原作じゃキノコ狩り以来見てないヨ!」
「そういえば!」
「何味だったコルァ!!たこやき味か!それともサラミ味なのかァ!!」
そして二人が蹴り続けているとGがキシャァァと鳴いて、力尽きた。
「オヤオヤ。泣いちゃったよこのぼっちゃん」
「(神楽ちゃん、それヤクザ)」
「泣いてすむならなァ、ポリスはいらねーんだバカヤロー」
「(それGだから。ポリス関係ないから)」
「兄貴ィ、マジこいつどーしてやりましょーか」
「(ほんとにただのヤクザの絡み方だよ)」
「とりあえず事務所こい...」
その時、部屋の扉が外れ、倒れた。
「「「!」」」
するとその向こうから巨大Gが大量に押し寄せてきていた。
「いっいやぁぁあああああ!!!」
「うおわぁぁぁぁ!!」
「へる、へるぷるすみー!!!」
「「いやヘルプミーな/Help meだから」」
そして3人で押し入れに逃げ込んだのだった。
***
少しして、押し入れ以外の場所は、大量の巨大Gに万事屋は占拠された。
そして小生達のことも食べようとしているのか、続々と集まってきている。
「だーこっちくんなってーの!一体どーなってんだ」
「うぅぅ...!!あれかァ人間への復讐かァァ...!!」
「こんなことならもっとゴキブリに優しくしときゃよかったなオイ」
「復讐なんかしてもなァ...誰も幸せにならないんだぞォ...!」
「朔夜お前も戻ってこォォい!いつものお前じゃねェとなんかやだ!!つーか何キャラだお前!?それにオイ神楽、お前も寝てる場合じゃ...」
「エヘヘ、ゴキブリが三匹、ゴキブリが四匹、ゴキブリが五匹」
「神楽ちゃんも壊れたァァ!!」
「神楽ちゃァァァん!?ダメだよそんなもん数えながら寝たら!ネバネバの部屋に閉じ込められる夢見るよ!!オイしっかりしろ・・・!!」
「ひっ!!」
するとカサカサと押し入れの壁を這う、普通サイズのGがいた。
思わず銀時の腕に抱きつくが、何故か銀時がそのGを手に取ったことでばっと離れる。
「なななななな何してるの!!銀時汚い!!」
「俺が汚いみたいな言い方しないで!?つーか落ち着いて見ろよ。なんかコレ変じゃね?なんで五郎?」
「五郎...?」
そろそろとそれを見れば、確かに背中に五郎と書いてあった。
「......妙なもんだな。いつもは見ただけで鳥肌モンだが、こんな状況じゃァな」
そして、恩返ししてくれよと五郎Gを生きたまま巨大G達の中に投げ捨てたのだった。
すると同時に食べられたと思っていた新八君が、巨大殺虫剤を振りまきながら、戻ってきた。
「新八君!」
「お前生きてたのか!!」
「何?僕がゴキブリ如きにやられるわけないでしょ。超強力な殺虫剤を買ってきたんスよホラッ!ていうか朔夜さん来てたんスね!」
「あぁ!(今すごい新八君が頼もしく見える!!)」
そして新八君と銀時が殺虫剤をまいてGを倒していく。
すると新八君が倒しながらこんなことを言い出した。
「街中酢昆布ゴキブリがウジャウジャでもう大騒ぎ」
「(酢昆布ごき...G?)」
「やべーな、俺らのせいだってバレたら打ち首だぜ」
「なんか変な噂まで流れてましたよ。こいつらが、宇宙から地球をのっとるためにやってきた人喰いゴキブリだとか
背中に五郎って書かれた女王ゴキブリを殺さないと地球は滅ぶとか、もう勝手に話が大きくなっちゃってて」
え、五郎...
「...ちょっと銀時...」
「...新八君、もっかい言って」
「いやだから背中に五郎って書かれたゴキブリ殺さないと地球が滅ぶんだってもう笑っちゃいますよね、アッハハハハ」
「...」
「アッハッハッホント...笑っちゃうな。俺、地球を滅ぼした魔王になっちゃったよ。アッハッハッ〜もう笑うしかねーや」
「アッハッハッ、え?え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「銀時のバカァァ!いくらロクな死に方しないだろうと思ってても、Gに食べられる最後なんて絶対嫌だァァ!!」(うわぁん
古代兵器恐いィィ!!
「見たんか!アンタら五郎さん見たんか!ここにいたんかァァ!!」
「アッハッハッー、逃がしちゃったよ俺、地球滅ぼしちゃったよ俺」
「どどどどどどこぉぉぉぉ!?早く見つけないと...」
「無理無理。もうどっか行っちゃったって。それよりステーキ食いに行こう。そして朔夜、結婚しとこうぜ。死ぬ前にステーキ食って、お前と夫婦になっときたい」
「銀時、何壊れたこと言ってんの!?小生はこんなんで連載終わるの絶対嫌だからね!!」
「大丈夫だって、死んだ後も愛してやるから」
そして片手で小生の手を引き、背に、相変わらず壊れたままの神楽ちゃんを背負って歩き出した。
「ちょっ、銀時ィ!!トチ狂った世界から戻ってきなさい!!」
「銀さんしっかりしてくださいよォ!!銀さん!!」
そんな風に少しの間すったもんだしていると、周りのGたちが急にバタバタと倒れ、一斉に力尽きた。
「!これは...」
「誰かが、倒したみたいですね...!」
「それじゃぁ五郎が...!」
「えぇ...」
「「助かったよ新八君!!/助かりましたね朔夜さん!!」」
思わず、お互いに両手でその場でハイタッチをかわした。
そして、この巨大G事件は幕を閉じたのだった。
後日、五郎は定春が倒したことがわかったので、お礼に彼に高級ドッグフードを買ってきてあげたのはまた別の話だ。
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