銀魂連載 | ナノ
第十七訓 家に帰ってくると現実とか色んなものに引き戻される。

第十七訓 家に帰ってくると現実とか色んなものに引き戻される。


「はぁ...やっと帰ってきたねェ...」


やっぱり我が家が一番だよ。

旅行の荷物をひも解いて、片付けを始め、一つのお土産を取り出した。

あぁ、もうホントに買えて良かった!


「ご当星ツッキー君ぬいぐるみ...!」


ぎゅぅとその姿を見て思わず抱きしめる。

ツッキー君?なんだそれは?そんな者たちにも説明してあげようじゃないか!

ツッキー君とは頭部が丸く、手はなく足っぽいものだけがついてる

よく分からない生き物だが何よりも可愛い、フリーハンド社というところが出しているキャラクターだ。

その訳の分からなさが可愛い。何か分かんないけど可愛い。

小生がもう初めて見たときから愛してやまないキャラクターなのだ。


とまぁ、とりあえず話が進まないのでちょっとだけそれは置いておこう。

そしてぬいぐるみを脇に置き、予備で持って行った

使わなかった下着を箪笥に入れようと、いつも下着を入れている引き出しを開けた。


「...あれ?」


だが、そこからは3、4枚か残っていたはずの下着がなくなっていた。


「...なんでだろう?」


そして数分後、妙ちゃんと新八君から電話が入ったのだった。



***



「あ〜〜?下着泥棒だァ!!」


そして妙ちゃんと新八君に何故か呼ばれ待ち合わせ、ファミレスに向かい待っていれば銀時と神楽ちゃんが来た。

そして新八君が妙ちゃんのことを話せば上記のような銀時の反応が返ってきた。


「そーなんスよ。僕が旅行中に二回もやられたらしくて...なんとかならないスかね?」

「昔の人はよォ、着物の下はノーパンだったらしいぜ、お姫様も。お姫様なのに着物の下は、もう暴れん坊将軍だよお前。

そのギャップがいいんだよ。おしとやかな顔して暴れん坊将軍かい!みたいな...」

「てめーのノーパン談義はどーでもいいんだよ。こちとらお気に入りの勝負パンツ盗られてんだぞコラ」


ガッと、思い切り妙ちゃんに顔面を掴まれる。


「勝負パンツってお姉サン、誰かと決闘でもするのかィ?」

「(銀時ってば...妙ちゃんは今すごい気が立ってるのに)」

「大体何がしたいんだお前は。その勝負パンツが戻ってくれば気がすむのか?」

「パンツを取り戻したうえでパンツを盗んだ犯人を血祭りにしたい」

「妙ちゃん、それはもう下着をはく文明人の発言じゃないよ。裸で槍持って野を駆ける人の発言だよ」

「下着ドロなんて女の敵アル。姐御、私も一肌脱ぎますぜ!」

「いやあのね、神楽ちゃん」

「よし、よく言った。ついてこい杯を交わすぞ!」

「待て待て待て!死人が出るよ!君ら二人はヤバいって!!」

「卿らはどこの戦国武将だい!?」


その間にも二人の背が遠ざかっていく。

あーあ、犯人見つかったら死ぬよ。


「まずいよ。最凶コンビがユニット組んじゃったよ」

「ほっとけよ。ホシの目星はもうついてるだろ?」

「え?そうなの?」

「一体誰...!!」


その時、テーブル下に隠れていたらしい近藤の旦那に目が行く。

何してるんだろう、本当にこの男は...


「...」

「なんだァァァァ!!まさか俺を疑っているのか貴様らァァ!!侍が下着泥棒なんて卑劣なマネするわけないだろーがァ!!」

「侍がストーカーなんてするわけねーだろーが」

「ストーカーはしても下着ドロなんぞするか!訴えるぞ貴様!!」

「いや訴えられるのは間違いなく近藤の旦那だよ。鏡見てきな、ストーカー映ってるから」


椅子から立ち上がり、銀時と会話する近藤の旦那を見る。


「これで真選組解体か〜いやめでてーな〜(朔夜も真選組の野郎とつるまなくなるし)」

「待て待て待て、コレを見ろ、コレを!」


そして、丸めた大江戸新聞を取り出し、新八君に渡した。

そして小生もそれをのぞき見る。


「...なんスかコレ?」

「またも出没、怪盗ふんどし仮面...?」


なんだいこりゃぁ?


「最近巷を騒がせてるコソ泥だ。その名の通り、風体も異様な奴でな。まっかな褌を頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇を駆け、キレーな娘の下着ばかりをかっさらい、それをモテない男達にバラまくという妙な奴さ」

「なんだい、その鼠小僧の変態バージョンみたいなの」


要約するとただの変質者じゃないかい。


「そーか、このパンツにはそーゆう意味が!俺ァてっきりサンタさんのプレゼントかと...」

「アンタもらってんのかいィィ!!」

「どこの世界に女の下着送るサンタが居るんだよ」


パンツを取り出し、驚いたようにそう言う銀時に呆れる。


「フハハハハハ!そりゃあお前、モテない男と見なされた証拠だよ。哀れだな〜」

「オーイ見えてるぞ。懐からモテない男の勲章がこぼれ出てるぞ」


アンタらほんっとに哀れだね...って、もしかして...小生の下着がなくなってたのって...


「んで、お妙の下着かっぱらったのもコイツの仕業だと...」

「ああ、今や江戸中の娘達が被害にあってる。しかし民衆、特にモテない男になまじ人気があるため、同心連中もなかなか捕まえるのに苦労してるようだ」


小生も一応娘なのか...?でも、じゃないと下着がなくなった説明つかないし...

もんもんと考え込んでいると、不審に思ったらしい新八君が声をかけてきた。


「どうかしたんですか朔夜さん?」

「ん、あぁ実はね...小生の下着も旅行から帰ってきたら無くなってて、」

「「「!」」」

「まさかとは思うけど、まさかその盗人に盗られたのかな...とね」

「なんでお前言わねーんだよ!!」

「だって確証なかったし...」

「確証ありまくりだろうが!お前該当しまくりじゃん!むしろ該当しねー方がおかしーだろ!!」

「?そう?じゃぁ多分盗まれたんだね...最悪だな」


その辺の男の慰み物になってるのかな...嫌だなァ...


「(朔夜のパンツがその辺の変態野郎に...赦せねェ!)ケッ、ただの義賊のくせにいっぱしの義賊気取りか。

気にくわねー気にくわねーぜ...なんで俺がモテねーの知ってんだァァァァァ!!しかも朔夜のまで盗りやがってェェェェ!!」


銀時の手でパンツが引き割かれる。


「「あああああああパンツぅぅぅ!!」」

「店内で大声で何叫んでんのさ」


でも、再犯される前に捕まえたい。

もう下着盗られるのは絶対に嫌だ。気持ち悪い。


***


あれから数時間後、小生、銀時、近藤の旦那そして神楽ちゃんは、それぞれ戦の準備をして妙ちゃんと新八君の待つ道場にやってきた。

そして縁側に妙ちゃんのパンツと小生のパンツを餌にぶら下げる。

どんなパンツかは読者の皆様の想像に任せよう。


「つーかお前、意外に下着可愛いんだな...(どうせなら朔夜のが欲しかったぜ)」

「まじまじ見るな。というか意外ってどういう意味さ、失礼な。それより士気上げるよ」

「分かったよ...いいかー、相手はパンツの質より、娘の質を求めてる真性の変態だ」

「だから、必ずまたこの場所に忍び込んでくるはずなので、そこを叩こうと思う」

「フンドシ仮面だかパンティー仮面だかしらねーが、乙女の純情と、漢の誇りをふみにじったその所業許し難し」

「「白ブリーフを鮮血に染め上げてやるぞ!」」


持ってきた采配(采配とは軍師とかが持ってるあのはたきみたいな棒だ)を掲げる。


「「「オオォォ!!」」」

「よし!良い覚悟だ!各自戦闘準備を怠るな!一時解散!」

「(朔夜さんも結局ノリノリじゃないッスか)」


そしてそれぞれ別れて、決戦に向けて準備を始めたのであった。

そういえば近藤の旦那が地雷しかけてたけど、

ちゃんと見てなかったからどこ仕掛けてたか分かんないけど大丈夫だろうか...?


***


そして夜――


「...ちょっと、全然泥棒来る様子ないんですけど。コレ、ひょっとして今日来ないんじゃないですか?」

「大丈夫だよ、来るって」

「あれだけ士気上げさせといて、来ないとかそんな空気読めないことしないよ」


久々に火がついたのに。


「いや勝手に上げてただけですから。それに何を根拠に今日来るって言ってるんですか?」

「あんなこれ見よがしにパンツが2枚もぶらさがってるアル。下着泥棒がほっとくわけないヨ」

「いやあらかさますぎるよ!なんか罠まる出しだし」

「新ちゃん、泥棒というのは目的までの障害が困難である程燃えるものなのよ」

「何勝手にキャラ設定してんの?気の小さい泥棒だったらどーするんスか」

「オイ、あんまりデケー声出すんじゃねーよ。泥棒にバレたら全部パーだぞ」

「パーなのはオメーらだよ。このクソ暑いのによ」

「なんだとこの野郎。コンタクトにしてやろーか!」

「小生をバカみたいに言わないでくれるかい!」


それは新八君といえど、怒るよ!


「あーもう止めて止めて、喧嘩しない!暑いからみんなイライラしてんだな。

よしちょっと休けい。なんか冷たいものでも買ってこよう」

「あずきアイス!」

「なんかパフェ的なもの」

「ハーゲンダッツ」

「僕お茶」

「小生は結構です」

「ハイハイ、じゃ買ってくるから大人しくしてなさいよ・・・ったく、しょーがない奴ら・・・」


ピッ ドォン!

背後で爆音が響き、振り返ればそこには爆発したらしい近藤の旦那がいた。


「......アラ、近藤さんが爆発したわ」

「あー暑かったからアルヨ」

「んなわけねーだろ、自分でしかけた地雷踏んだんだよ。バカだね〜」

「アレ?でもちょっと待ってよ。小生は地雷しかけてるとこ見てないから分からないけど

皆さ、地雷の場所覚えてるんじゃないの?」

「「「「...」」」」


まさか...


「大変だわ。明日新聞配達のオジさんが爆発するわ」

「言ってる場合ですかァァ!!」

「明日より現時点でヤバいからね!?」

「僕らこっから身動きとれなくなっちゃったんですよ!もう泥棒とか言ってる場合じゃねーよ!!」


最悪のパターンだよ!まきびし自分の周りにまいちゃったのと同じくらいの愚かさだよ!

思わぬ事態に頭を抱えていると、屋根の上に人影があった。


「アハハハハハ!」

「「「!!」」」

「滑稽だ!滑稽だよお前ら!!」

「あ...あいつは!?」

「パンツのゴムに導かれ、今宵も駆けよう漢・浪漫道!怪盗フンドシ仮面見参!!」

「あれが例の変質者だね...!」

「最悪だァァ!!最悪のタイミングで出てきやがったァァ!!」


本当だよ。こっちの空気を呼んでくれ!

しかし、そんなこともおかまいなしにその変質者は屋根を伝い、下着を取りに床へと降り立った。

だが次の瞬間――ドォン!

再び爆発が起こった。

どうやら床下にも地雷があったらしい。

だがその変質者は諦めなかったらしく、落ちてくる小生と妙ちゃんのパンツを掴んだ。


「フフフフ、甘いよ。こんなものじゃ俺は倒れない。

全国の変態達が俺の帰りを待ってるんだ」


別にかっこよくもなんともないよ、そのセリフ


「こんな所で負けるワケにはいかない。最後に笑うのは俺よ!!」


どこから来るのさ、その無駄な打たれ強さと鉄の執着心。

逆に興味すら沸くよ


「クク、さらば...」


ガッ


「!」

「待てェい」


そう言って変質者が去ろうとした時、近藤の旦那が足を掴んだ。


「汚ねェ手でお妙さんと朔夜さんのパンツ触るんじゃねェ!!俺だってさわったことねーんだぞチクショー!!

銀時ィィ何やってんだ早くしろォ!!今回はお前にゆずってやる」

「うるせーな。言われなくてもいってやるさ。しっかりつかんどけよ...うらああああ!!」


ダッ

銀時が木刀を構え、走り出す。

だが、今日3個目の地雷を踏み、銀時は爆発した。

あぁ、もう自滅しまくってるじゃないか!

男には任せておけない!!


「妙ちゃん」

「えぇ、お朔さん」


二人でアイコンタクトをとり、走り出す。

タンッ

そして銀時の背中を踏み台に妙ちゃんとともに飛びあがった。


「!!」

「「女を、なめるんじゃねェェェェ!!/なめんじゃないよォォォォ!!」」


そして妙ちゃんが薙刀をふり下ろすのと一緒に、握っていた采配を振りおろした。

ぎゃああぁぁ、という変質者の声が響き、パンツは小生たちの元に戻ってきた。


「素顔もさらせない人に私たちのパンツはやれないわ」

「女々しいったらないよ。ほしけりゃすっ裸で正面から挑んできな」

「「心までノーパンになってね」」

「アッハッハッハッ姉上ェェェ!!朔夜さんんん!!」

「やっぱり姐御と朔夜が一番アル!」


そして新八君と神楽ちゃんが駆けてきた時――

ピッ、と彼らの足元で嫌な音。


「え?」


ドォン!

最後の最後にまた地雷が爆発したのであった。

...地雷の位置くらい、埋めたら責任もって覚えとこうよ...


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