銀魂連載 | ナノ
A




「ちょっとォォォォ!!なんなんですかァあの人達ィ!!家がメチャクチャ!!」

「家より自分の心配が先決だよッ!!」


それぞれ乗っているものを走らせながら、会話を交わす中、銀時が腕に装備されたままのタマに話しかける。


「オイどういうつもりだ。さっさと俺の腕から離れやがれ。お前を追ってきたんだよな、アレ。俺達まで巻き込むつもりかコラ。オイ、返事しろ」

「......返事がない。ただの屍のようだ」

「ザオリク」


ズガガガガガ


「銀時壊れちゃうよ!!」

「いだだだだ!!復活しました復活しました」


裏声の返答にいらついたのか、スクーターを走らせたまま腕を下げ、タマの顔面を地面にすらせるのをやめて再び腕をハンドルに戻す。


「離れろといっている。修理してやった恩を仇で返すつもりか?」

「首だけでは何もできません。せめて機械技師の家まで運んで下さい。それに今は、逃げる事に専念した方がよろしいかと。

でも逃げてばかりじゃレベルはあがらないぞ。それから武器は、装備するのを忘れるな。持っているだけじゃ、装備した事にはならないからな」

「外れろォォォ装備ィィィ!!」


再び銀時がタマの顔面を地面にすらせだした時、神楽が屋根の上を指したのでそちらを見れば

とんでもない速さで屋根の上を走ってくる先程の機械家政婦がいた。


「キャハハハハ!見つけましたの〜ホクロビーム。お掃除の時間ですの〜」


モップを振り回しながら、此方へ飛び降りてきた。

間一髪全員避けて逃げるが、彼女が飛び降りモップを振りおろした場所にはちょっとしたクレーターが出来上がっていた。


「「ぎゃああああああ!!」」

「メイドの姿の機械でなんであんな化け物じみた戦闘力つけてるの!?なんなのあの機械!?」

「“芙蓉”似―参丸伍號。“芙蓉”プロジェクトで開発された最新型の機械家政婦です」

「「家政婦じゃねーよ/ないよアレ!!兵器!兵器だよアレ!!」」」


追ってくる姿をちらっと見ながら銀時とハモり突っ込みをいれる。


「別名「くりんちゃん」清掃能力に特化した機械で、病的なまでの潔癖症ゆえ購入者から、ウザイと返品された不良品です」

「馬鹿じゃないのその研究所!!色んな意味でやりすぎだよ!!」


考えて作ろうよ!機械も可哀想だわ!!


「つーか記憶ないのに、なんであの娘の事だけそんなに憶えてるの!?」

「現在は研究所で清掃班として働いています。私の額のホクロを、何度もゴミと間違えてとろうとするバカです」

「ホクロビームの娘だ!たまさんをホクロビームと馬鹿にしてたのはあの娘だったんだ!だから憶えてるんだ!」

「「どーでもいいわ/いいよ!」」


今その情報いる!?

新八君につっこみつつ追いつかれないようにしていると、くりんちゃんに向かってトラックが突っ込んできた。

しかしくりんちゃんは、それをものともせずモップをトラックに刺し、爆破させた。


「清掃班はゴミを処理するのだけが仕事ではありません。

つまり、“芙蓉”プロジェクトの障害になる存在をチリも残さず消す、鋼鉄の掃除屋(ころしや)」

「......」

「(話がどんどん壮大にィィ)」

「...えっ?ちょっ、じゃあたまさん味方に...研究所に狙われてるって事ですか?どうして...やっぱりたまさん、博士のこと...」

「ぱっつぁんよ。もう今は、んな事言ってる場合じゃねェ」

「!」

「わかってんなァ、このままじゃ俺達」


キィィィィと急に銀時が急ブレーキをかけ、定春も急に止まった。

前を見るとその理由がわかった。


「うわっ...」

「メイドさんに冥土に送られるって事だけだ」


目の前には数えきれない機械家政婦たちが立ち並んでいた。


「......メ...メイドが...」

「壮観じゃねーか。マニアなら泣いて喜びそうな絵だろ」

「マ...マニアじゃなくても泣けてきます」

「万事休すだね...どうしよっか」

「そのホクロビームをこっちに渡せばいいですの〜」


もっぷをふりまわし、辺りの車を破壊し吹き飛ばしながら、くりんちゃんも一定の距離まで近づいてきた。


「そのホクロは林博士を殺した罪人ですの〜。私達で処分しますの〜。おとなしくこちらへ引き渡せば、危害はくわえませんの〜。あなた達は関係ないですもの〜」

「どの音声機能が言うんだか...」

「関係ない連中散々巻き込んどいてそりゃねーよ」

「信じられるか!ボケー、渡したら一斉に来るつもりアル!」


ていうかもう危害加わってるし、そんな安い手口にひっかかるかい。

そう思いながらくりんちゃんを睨んでいると、銀時の腕にくっついたままのたまが危険だと言い出した。


「もう私のことはいいですから、彼女達の言う通りにして下さい。私をはなして下さい」

「お前がはなせェェェ!!」


二人がプチ漫才をしているとくりんちゃんが、林博士から奪ったあれをどこにやったと話しかけてきた。


「何の話ですか、うまのふん?」

「んなワケねーだろ!!」

「たま、空気読もう!!」

「とぼけても無駄ですの〜。アレを手に入れるため、あなたは林博士を手にかけたんですの〜」

「(なんなんだそのアレって...この機械(からくり)達が持ち合わせないものであることはわかったけど...)」

「あの方ならきっと成しとげてくれるはずですの。その時、機械は神にも等しい存在になりますの〜。

人間と機械の立場は逆転することになりますの〜」

「......?」

「(機械に足りないもの...?)」

「何を...!」


そこまで言うとたまは何かを思い出したように口をつぐみ、両の目から涙を流した。


「!!お前...」

「嘘...機械が、泣いてる...?」

「一体どうなって!?」

「やはり持っていたんですの〜。機械が流すことは決してないその雫・・・何よりの証拠ですの〜。渡すんですのォォ!!それを私達にィィ!!」


言うが早いかくりんちゃんは此方に向かって踏み込んできた。

それを定春から降りた神楽ちゃんが傘の銃を使い、足止めをする。


「邪魔を、やめるんですのォォ!!」


小生も采配を手にし、定春から降りる。


「朔夜!乗れ!!」

「!うん」


スクーターを走らせようとしている銀時の手をとり、銀時に抱えられるようにしてスクーターに乗りこんだ瞬間

銀時がスクーターを機械家政婦達の方に向かって走らせだした。


「朔夜、動くなよ!」

「分かってる!」

「新八ィィィ!!飛べェェェェ!!」


瞬間、機械家政婦達にぶちあたりスクーターが周りを巻き込んで大爆発を起こした。

小生達3人は、それぞれ辺りに転がり、偶然にも新八君と小生の側にたまが転がってきた。


「「!!」」

「新八、朔夜!源外のジーさんの所へつれてけ!!早く!!」

「でもっ!!」

「っ後からちゃんときなよ!!新八君、いくよ!!」

「っ...はい!!」


躊躇う新八君の手を引き、銀時と神楽を信じてその場から走り出した。


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