銀魂連載 | ナノ
第百八訓 ゴミの分別回収の協力は社会のマナーです




万事屋に上がり、銀時が寝室にしている和室へ直行する。

居間に見慣れないものがあった気がするけど気のせいだろうとスルーする。


ガラッ


「おはよー...」

「ドゥルルルルッドゥルルルルッドゥルルルルットゥードゥルルルルー」

「...神楽、何でグラサンかけて銀時の枕もとで『世にも奇●な物語』のテーマソング口ずさんでるの?」

「あ、マミー!銀ちゃんが起きないから遊んでるアル」

「神楽それはね、恐いものが嫌いな人にとっては嫌がらせと言うんだよ」

「銀ちゃんだからいいアルヨ」

「...まぁほどほどにね。(小生は朝ご飯を作ってこよう)」


そうして立ち上がり台所に向かうと、後ろから再び神楽が口ずさみだすのが聞こえた。

朝食を準備している間に聞こえなくなったので、銀時も起きた事がわかった。


「(ていうかさっき居間のテーブルの上にあったのってなんだろう?あとでちゃんと見てみよう)」


***


朝食の準備を終えて、定春にご飯を上げた後、机の上に気になるものをのせたまま居間で3人で食事を始める。

カンカン


「...ったく、どうりで嫌な夢見るはずだぜ」

「へぇ、夢?」

「ほうほう、どんな?」

「生首がよォ...まァいいや。寝て見る夢も、起きて見る夢も、人に話すこっちゃねーってな。笑われんのがオチよ」

「ゴミ捨て場に生首アルか?」

「え」


それ結構な事件だよ。

そう思いつつ話をきけば、それが銀時の夢の内容であることが察された。


「(まぁ、あのテーマソング口ずさまれたら見ても仕方ないかもね)」

「寝る前の前後の記憶がねーんだが、俺昨日何やってた?」

「ゴミ捨て場にジャンプとりにいってたアル」


言いながら、先程から机に置いてあった物体で卵を割ろうとする神楽の姿に...いや正確には、その物体に小生達は目が釘付けになる。


「「......」」

「しばらくしても戻ってこないから見にいったらゴミ捨て場で寝てたヨ」

「...神楽ちゃん...神楽ちゃん」

「...あ、それって...(最近話題の機械(カラクリ)...)」

「卵割り器!昨日見つけたアル」

「え、いやちが――」

「いやいやいやいやいやいやいやいや、い゛や゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

「?!っ(びっくりした!)」

「卵割り器違ぅぅぅ!!生首それェェェ!!昨日の!!」


銀時がその機械の首を指差し騒ぎ出した。

どうやら夢ではなく、ゴミ捨て場の生首は現実だったようだ。

しかし神楽は卵割り器だと言い張る。


「さっきから何言ってんのこの娘!?朔夜、お前からもなんか言ってやって!!」

「いや、確かに卵割り器なんて器物存在しないけどさ...」

「卵というもの、つい人の頭で割ってしまいたくなるものヨ」

「(そんな衝動にかられたことないけど)」

「でもそれじゃ迷惑...でもこれさえあれば」


パンッ


「「違う!!絶対違う!!」」


思い切り卵を機械の頭に投げつけて割る。勢いで頭が飛び、床に転がる。

まるで殺人事件の後のようだ。


「ちょっ!この絵面はジャンプ漫画にあっていい絵面じゃないよ!(機械の首といえど流石に生々しい!!)」

「早く戻してこい!元あった所に戻してこいィィ!!」

「いやアル!アレは私の卵割り器アル!!誰にも渡さないネ!」

「ふざけんな!あんなもんご近所の方に見られたらどうなると思って...」


言い合いをしていると定春が、床に転がった機械の頭を咥えあげ、外に出ようと玄関へ向かっていった。

その後を銀時と神楽が追い、更に後を小生が追う。


「定春ぅぅぅ!!それは勘弁してくれェ!!それはオモチャじゃないからなっ!!こっちよこしなさい!ビーフジャーキーあげるから!」

「定春ぅ!それ私の卵割り器アルヨォ!!」

「卵割り器じゃねーっつってんだろ!諦めろ!明日から俺がお前の卵割り器になってやるから諦めろ!なんだコレ、新しい口説き文句か!?」

「ふ、二人とも落ち着いて!!」


すったもんだとしていると、頭が定春の口から外れ宙を舞い、丁度下に来ていた新八君の手元に落ちた。


「しっ・・・新八ィィ!!さわるなァァァ!指紋が!指紋がつくっ!!証拠を残すなァ!!早く処分しろ!!」

「銀時ほんとさっきからなんの勘違いしてるの!?」

「...これ、悦子ちゃん」


新八君が頭を見つめて呟いたのが耳に届いた。


「!!悦子ちゃん、お前の知り合いの悦子ちゃんか!!」

「違いますよ。これ、今人気の機械家政婦の『悦子ちゃん』ですよ」

「『悦子ちゃん?』」

「違うネ!卵割り器アル」

「...二人とも、ちょっとは世間に乗っかろうよ」



何も分かっていなかったらしい二人に、新八君と軽く説明をしつつ、

この機械をこのままにはできないので、平賀の旦那の元へと直しにいくことにした。



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