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「スゴイ警備の数ですね」
「そりゃそーですよ。町奉行の威信がかかってやすからね」
美術館の草陰に座り込み、辺りを見る。
「ここに忍び入って奴等より先に狐捕まえるのか」
「まるで小生達が泥棒だよ」
「心配いりやせんよ、あちきが手引きするんで。あちきら目明しってのは、その多くが軽い軽い罪を犯した者で構成されてんです」
「え」
「泥棒捕まえるには泥棒って奴です。かく言うあちきも昔は...だからこういうの得意なんです」
「心配直撃なんですけど!!誰かこの娘つれてってェェ!!」
「ぎ、銀時落ち着いて!」
宥めていると、小銭形の声が聞こえた。
「オイ、大きな声を出すな。警備に気づかれたらどうするんだ」
「「お前/旦那がどうするんだァァァ!」」
バスローブ着てバイクを大音量でふかしながらやってきた小銭形の旦那に、銀時、新八と共に総突っ込みをかける。
「こんな時ぐらいハードボイルド脱ぎ捨てて来い!!バカなのか?お前はバカなのか?」
パンッと銀時が小銭形の旦那の頭を叩いた。
しかし小銭形の旦那は反省しない。
「バカヤロー、このバイクは落ちてたんだよ。ハードボイルドな奴の前には、バイクが落ちてるもんなんだ」
「そんなわけあるかい!早く降りなさい!」
「いや朔夜さん、『危ない刑事(デカ)』でも、タカがよく落ちてるバイクに乗って敵追跡してたろ。まァ、あいつもけっこうハードボイルドだからなァ」
「アンタはマジであぶないから!『マジで危ないからどいてェ!みんな寄らないでェ刑事(デカ)』だから!!」
「わかったよ。降りりゃいいんだろ、降りりゃ」
「オイィィィ!!もうツッコむのも面倒くせーよ!
ようやく降りてくれたが、その手にはワイングラスがあった。
「どんだけハードボイルドで武装してんだい旦那ァ!!」
「なんでバスローブなんだ!!お前それはもう一仕事終えた後のハードボイルドだろ!」
「タカが...仕事場いく時もバスローブって言ってたから」
「オメーなんやかんやでちょっとタカに憧れてるじゃねーかよ!」
「さっきの上から目線どこいったのさ!」
そして銀時と二人で旦那に詰め寄る。
「いいからとりあえずそれ脱げ」
「えっ脱ぐの?」
「いいから脱ぎなさいよ。なんかそれ腹立つし、まだ一仕事終わってないし」
「全身タイツに着替えろ」
「いやタイツは勘弁してください。キャッツアイじゃないスか」
「いいよもう。スペースコブラも着てたでしょ。ハードボイルドじゃないかアレ。神楽、タイツもう一着あったよね?貸し...」
ブォォォォォ
「あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜」
「くせ者!くせ者だァァ!」
声をかけた瞬間、目を離していた神楽はバイクに乗って美術館に突っ込んでいった。
思わぬ事態に、声も無くその姿を見送った。
「「.....」」
「よし、陽動作戦成功だ」
「ウソつけ!!」「銀時それは無茶がある!」
「今の内に裏から侵入するぞ!神楽の死を無駄にするな!!」
「(ごめんね神楽!!)」
そして残った小生達は、裏口から内部へと突入を果たした。
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