Six!




帰ってきた私に、パパとママは言ったわ。

きっと私を心配していただけで、悪意はなかったのね。


「キティ、もう彼に手紙を出すのはやめなさい」

「そうよキティ、犯罪者のボーイフレンドがいるなんて…貴女までダメになるわ」

「違うのよパパ、ママ!ヴェルはなにも悪くないの!本当になにもしていないの!!」

「そう信じたい気持ちはわかるさ。だが、真実はそうじゃないんだ」

「初恋がこんな形の失恋なんて、ショックなのはわかるわ。だけど仕方ないのよ」

「やめて!なにもヴェルのことわからないくせになにが真実よ!!ニュースや新聞やえらい人の言ってることだけが真実なの!?そんな嘘つきな世界の言うことなんか、私なにも信じないわ!」

「「キティ!いい加減にしなさい!!」」

「うるさい!!パパもママも大っ嫌い!!死んじゃえ!!」


悪意のない言葉ほど、怖いものってないと思った。

同時に、私の正しい言葉の無力さも知ったわ。

正しいだけじゃ、真実にはならないってこともね。

だから私は世界をはねつけて、ヴェルに手紙を書き続けた。

あ、一つだけこの時に悲しい不思議なことがあったのを忘れていた。

私が死んじゃえといった一週間後、私の両親は本当に、交通事故にあってーー即死した。


***


帰ったら、もうヴェルは家にいた。

その姿を見て、思わず抱きつく。


「どうした?なにか店であったのか?」

「なんでもないわ…ただ、少し疲れただけよ」

「…本当かよ?」

「ううん、大丈夫…やっぱりヴェルが私の一番だと思っただけ」


他の下世話な男なんかどうでもいい。

私はヴェルのためだけにここにいるんだもの。


「…キティ」

「なに?」

「俺から離れたらお前も、お前を奪った野郎も殺しちまうかもしれねえ」

「…ふふっ心配性ね、ヴェルは。大丈夫、私は貴女だけのものよ」


そこに愛がある限り、私は永久に別の男を見ることなんてないでしょうね。


to be continue…



 

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