Five!




人生で初めて取調を受けて、法廷に初めて入った時。

私は証言者として入り、ヴェルは被告人として入れられた。

当時は難しい言葉の意味すらよくわからなかったけど、裁判で嘘をついてはいけないことだけはドラマとか映画で知っていたから

全ての質問に、誓って真実だけを話したわ。

そうしたら疑いが晴れて、なにごともなかったように帰れる気がした。


「空から落ちてきたから、履くのを止めなかったの。神様から贈り物かと思って…サイズは大きかったけど、神様もきっとサイズを間違うこともあると思ったの」

「そう言うように彼から言われたのかい?」

「いいえ!ヴェルは私にそんなこと言わないわ」

「じゃあそう思い込まされているのかな?」

「違うわ!」


…あの最低な判事は、証言なんかどうでもよかったのね。

だって奴は、最初からヴェルを犯人として見ていなかったから。

だからヴェルは、連れていかれてしまった。

私は暴れたけどすぐ捕まって、泣いている両親のところに連れ戻されたわ。


***


賑わいのあるスーパーで流れ作業のような、レジ作業。

賃金は安いし、感情のいらない仕事だし、最低な奴もいるけど

ストリートで体を売るのも、ストリップでポールダンスなんかするのもいやなら仕方ない。

世の中はそういうものなのだから。


「ようキティ今日もいいケツしてんな」

「私にはダーリンがいるから他をあたってくれる?」

「ちぇっつれねぇな。どうせヤりまくってんだろ?」

「貴方とはヤらないけどね」


お尻を撫でてくるセクハラ同僚の手を叩いて、エプロンを外す。

しかし、彼は腕を掴んでくる。

早く帰ってごはんを作らないといけないのに。


「なあキティ、いいじゃねえか。一度くらい俺と寝てもそいつもわかんねーよ」

「馬鹿ね。貴方の汚い欲に私が汚されたせいで彼が人殺しになったら貴方どう責任とってくれるの」


二度と、警察と裁判所に彼が連れ込まれるのは御免よ。

あっけにとられたような同僚をもう一度振り払い、私は今度こそカバンを持って店を後にした。


to be continue…



 

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