Four!




「ヴェル、これからどうしよう?あんまり遠くにいくなら連絡しないと…」

「家出だからしなくていいんだっての」

「あ、そっか」


2人で結構遠くまでいくのなんて初めてだったから、正直家出の日、私は舞い上がっていたのかもしれない。

でも、現実っていうのは、時に小説より奇妙なことがある。

空からイチローのスパイクがふってくる日がくるなんて、誰が想像したんだろう。

今考えると、それが、彼のついてない人生の始まりだったのかもしれない。


「どうだキティ、似合うか?」

「似合うしかっこいいけど、ちょっと大きくなぁい?」

「歩けるから大丈夫だって」

「そう?ならいいんだけど…」


唇に指をあて、小首を傾げながら彼を見ていると、後ろから肩を掴まれた。


「ちょっと君たち、いいかな」


振り返った先に見えた警官服とパトカーが、あの時の私たちにはなにを意味していたのかわからなかった。


***


2人でソファでゴロゴロとしていた深夜。

ウーウーと唸るパトカーの音が遠くの方から聞こえてくる。


「ん…警察さんは今日も忙しそうね」

「けっ…どうせ小せェ事件を猟犬みたいに追いまわしてるんだろ」

「ご苦労様ねぇ…どうでもいいけど」

「それよりこっち向けよキティ…キスができねえ」


耳をゆるく噛まれて、吐息が漏れる。


「もう、ヴェルったら…」

「警察なんかに意識向けてんな」

「ふふ、ごめんなさい。貴方に集中しなきゃよね」


ヴェルの首に腕を回し、重ねられる唇を受け入れる。

その間にパトカーの音は遥かに遠ざかり、聞こえなくなった。


to be continue…


 

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