ディオ坊っちゃまがいらして、しばらく時が過ぎた頃、私は旦那様に呼び出されました。
「ミシェル先生、もう少しジョジョを厳しく躾けてやってくれ」
「…しかし旦那様、」
「ディオと比べて、思わないのか?私たちはジョジョを甘やかしすぎていたと」
「…人には学ぶスピードがありますから無理に二人の歩調を合わせていく必要は…」
「先生、これはジョジョのためなのだ。ジョジョが早く良き紳士になるためにも…」
「…わかりました。善処いたしますわ、旦那様」
思うところはあれど、旦那様の実子を思う気持ちもわからないではなく、言葉を飲み込んで深く腰を折った。
***
旦那様にジョジョ坊ちゃまが怒られずに済むくらいに、少しだけ教育方針を変えてからのことでした。
「ジョジョ坊っちゃま…目はもう大丈夫ですか?」
「うん…もう平気だ」
ある日帰ってきた坊っちゃまは顔に殴られた後があり、目までを怪我していた。
大人が介入できない子供たちの世界で流行っているスポーツのためだろうとすぐに察しはつきましたが
目までひどい怪我をするのはやりすぎだと思い、相手を聞きました。けれど坊っちゃまは、ついに話してはくださいませんでした。
「…坊っちゃまが失明しなくて、本当に良かったですわ」
「ありがとうミシェル先生…」
「当然です!坊っちゃまがうんと幼い頃から成長を見てきたのですから!」
我が子のように大切に思っているのです、と口にすれば、ジョジョ坊っちゃまは少しだけ気恥ずかしげに微笑んでくださった。
けれどそこには、今まではなかった影がある気がして、この優しい坊っちゃまの未来が幸福であることを祈らずにはいられませんでしたわ。
to be continue…