お前たちを試す、と言い放ったストレイツォに、やはり、と歯がゆい気持ちに奥歯を噛む。
彼はジョセフ坊ちゃまとミカエルの性格を、見定めようとしている。
それは、誇り高き紳士であったジョジョ坊ちゃまのことを覚えているから。
先の自分にとって驚異になることが恐ろしいのだ。
「(2人はどう動くのでしょう...)」
5秒後に登って来なければ女を殺すという、恐ろしい声を聞きながら、若く逞しい2人を見つめた。
「で〜〜〜っ愛を誓いあった恋人ならともかくよォ!このオレがそんなブスのために闘えるかバーーカ!!」
「...全く話にもなりませんね。彼女が死んだところで私達には痛手でもありませんよ」
「殺し方はこのままアゴごと口を引き裂く。そのまま一気に引き下ろし、のどの肉と胸の肉をえぐりとる!」
「「......」」
「ストレイツォ...誇り高かった我が師である貴方が本当にそんな真似をできるんですか?ハッタリでは?」
「そうだぜ...チベットの『波紋法』の後継者で、ミカエルやミカエルの親父さんにも教えたストレイツォともあろうお方が、そんな女の子にムゴイことするもんかい!」
その瞬間、私の発達した耳に届く幽かな鈍い音と、続いて甲高い女の子の悲鳴。
そして、放られ落ちてくる血に濡れた奥歯。
「お...奥歯だ...奥歯〜ッ!女の人の奥歯だ!」
「ああ...なんてこと...!」
「この野郎...ほ...本当に引っこ抜きやがった!」
「まさか本当にやるとは...!!」
その場の全員が一斉に彼が本気だと悟り、上を見上げる。
「ストレイツォ容赦せん!!」
その言葉に、ジョセフ坊ちゃまとミカエルの2人の目の奥の色が、怒りに燃えるように変わったのが見えた。
それが2人もまた、誇りある血や生き方を過去から受け継いでいる、何よりの証でしたわ。
to be continue...