「やったか...!?」
「...げほっ、派手に吹き飛ばしましたが...まだ油断はできませんね」
全力の波紋もマフラーにより散らされ、反撃を受けた。
腐ってもやはり波紋法の後継者。
ジョセフに手榴弾も渡しておいて良かった。
爆風で軽く地面に吹き飛ばされたジョセフの手を掴み、立ち上がらせ
すっかり今の爆発で吹き飛んだ喫茶店跡地に頷きあってから近づいた。
目に飛び込んできたのは散り散りに吹き飛んだ肉片が各々意思を持つように集まっていく様。
ひどくおぞましい光景と、本当にこの生物が殺せるのかと、顔がゆがんだ。
刹那、空から懐かしい女性の張り詰めた声が。
「ジョセフ様!ミカエル!」
「!」
まさかと上を見上げた時、目の前へとしなやかな動きで飛び込み、着地した女性。
それは間違いなく、数ヶ月前に私が死んだと聞かされていた方。
「お祖母様...!?」
「ミシェル先生!?」
「ああ、二人共まだ命があって良かった...こちらの子は友達で?」
「えっあ、は、はい!」
「そうですか...なら3人共無事で良かったと言うべきですかね...」
穏やかに細くなる深い赤い瞳に、こっちの台詞ですという言葉が出るよりも早く、唯一の家族を示す同じ色の髪に
こんな状況だというのに、安堵の涙が滲んだ。
「ミシェル先生、アンタ死んだんじゃ...!?」
「私は死んでませんよ?この数ヶ月は、ストレイツォを単身で追いかけていたのです...ロバートを殺したと言い、そして貴方達をも始末すると言った、彼を」
ディオ坊っちゃまや、今の私のような化物に憧れたという化物ならば、憧れさせてしまった同じ化物が倒すのが道理。
そう言って再び復活しようとするストレイツォに、悲しそうな視線を向けながらも、普段はけして見せない鋭い爪と牙を剥くお祖母様。
人でいようとするお祖母様に、そんな姿を、そんな顔をさせていてはいけないと、お祖母様の前に出る。
「ミカエル...!?」
「やつは、私とジョセフにお任せ下さい。ジョセフにはまだ策があります」
「策...?」
「ええ...たった一つだけ残った策があるぜ!」
「たったひとつだけ!そ...それはいったい?」
「とっておきのヤツがな!」
「ジョセフ様...ミカエル、一体何を...」
「奴はまだ足の損傷を回復できていない...ですからこっちも足を使うんですよ」
目線だけでジョセフと頷きあってから、訝しげなお祖母様を抱えあげ、同時に走り出す。
「ミカエル!?ジョセフ様!?」
「逃げるんだよォ!スモーキーッ!ミシェル先生ッ!!」
「三十六計逃げるにしかず...ヤジ馬は道を譲りなさい!!」
「わあ〜ッ!!なんだこの2人ーッ!!」
後ろから遅れてついてくるスモーキーの声を聞きながらストレイツォにちらりとだけ視線を向ける。
彼は必ず追ってくるだろう。
to be continue...