「いてて...おばあちゃん酷いぜ...」
「やれやれ...貴方が馬鹿なことを言うからでしょう、ジョセフ」
エリナ奥様とスピードワゴン様の仲をからかうような与太話をしたら、殴られても当然である。
ため息を吐き出せば、後部座席からジョセフは身を乗り出してきた。
互いに図体が大きいから、狭苦しくてかなわない。
「なんだよミカエルお前まで...ちょっとした冗談じゃねーか。スピードワゴンは義理堅いし、なによりミシェルせんせがいるもんな」
「あのお2人も...そういうのではないですよ」
「えっ!?嘘だろ!」
「嘘ではありません...大体、私の祖父のクリストフ・ブラウンが、ミシェルお祖母様の事実上は夫ですし」
「そうだけどよ〜......でもお前、クリストフさんは死んでるし、それにあの人はあれだろ...」
「やめなさいジョセフ」
「エリナおばあちゃん...」
「あの人もどんな形であれミシェル先生を最後まで愛し、ブラウン家と我が家、そしてスピードワゴン財団に尽くしてくださった方...そしてなによりミカエルの愛する家族の1人、悪く言ってはなりません」
「......もったいない言葉をありがとうございます、エリナ奥様」
「...分かってるって、クリストフさんも悪い人じゃなかったしさ...でも信じられねーなぁ。ミシェル先生とスピードワゴン、昔っからあんな仲いいのに」
「......そこがスピードワゴン様の義理堅さなのですよ。さて、つまらない話はここまでにしましょう。そろそろ着くはずですし」
窓の外に近づいてきた目的地のレストランを見て、ジョセフの不満そうな顔から目をそらした。
to be continue...