お祖母様とスピードワゴン様が行方不明。
そう、財団から連絡があった。
「(スピードワゴン様はどうしたんだ…)」
あの二人が同時に行方不明だとは、ありえないことだ。
だからきっと、なにも悪いことは起きないと思うが…エリナ様たちに伝えるべきか否か…
「おいミカエル!アブねーぞッ!」
「!」
ぼうっと歩いているとジョセフに背中を押される。
同時に、車の激しいブレーキ音が背後から聞こえた。
「!ジョセフ…!」
「ミカエル、お前らしくねーぜ」
「…そうですね。すみませ…」
「おらーッ!どこ目つけてブラついとんだよーッスカタン!」
「!」
「てめーのケツ、犬にでもキスさせてろーッ!!」
顔を出した運転手から吐き出された汚らしいスラング。
そう罵られれば、こちらにも非があるといえど腹がたつ。
しかもその男は短気のようで、あろうことかジョセフに早くどけと車のフロントをぶつけた。
それを見て思わずカッと頭に血が登り、男の顔を鷲掴んだ。
と、同時にジョセフも男の胸倉を掴んでいた。
「もしもし...失礼ですが貴方今なんておっしゃいました?もういっぺん言えるもんなら言ってみてください」
「通訳なしでわかるよーに頼むぜ?場合によっちゃブッ飛ばす!」
「ジョジョ!ミカエル!なにをしているのです?」
後ろから飛んできた声に、思わず肩を跳ねさせてジョセフと2人で振り返る。
後ろにいたのはスモーキーと、思った通りの人物。
「「エ...エリナばあちゃん/奥様!」」
「どうかして、二人とも...?その人になにをしているのです?」
「え......あ〜〜」
「こ、これはですねエリナ奥様......た、タクシー!タクシーですよ奥様!でしょう?ジョセフ!」
「!あ、ああ!そうですよエリナおばあちゃん!乗っけてってくれるそーです!」
「さあお乗りくださいエリナ奥様!」
嘘に気づかれないように車の扉を慌てて開けて、笑顔を浮かべれば、エリナ奥様は納得したように機嫌よく車に乗ってくれた。
その姿にジョセフと目線を合わせ、2人で胸をなでおろし、こちらを疑わしげに見ているスモーキーに向けて、口元に人差し指を当て助手席に乗った。
「さて、イタリアンレストランまでお願いできますか?ドライバーさん」
運転手への、笑顔の威圧は勿論忘れずに。
to be continue...