Step.04

お祖母様とスピードワゴン様が行方不明。

そう、財団から連絡があった。


「(スピードワゴン様はどうしたんだ…)」


あの二人が同時に行方不明だとは、ありえないことだ。



だからきっと、なにも悪いことは起きないと思うが…エリナ様たちに伝えるべきか否か…


「おいミカエル!アブねーぞッ!」

「!」


ぼうっと歩いているとジョセフに背中を押される。

同時に、車の激しいブレーキ音が背後から聞こえた。


「!ジョセフ…!」

「ミカエル、お前らしくねーぜ」

「…そうですね。すみませ…」

「おらーッ!どこ目つけてブラついとんだよーッスカタン!」

「!」

「てめーのケツ、犬にでもキスさせてろーッ!!」


顔を出した運転手から吐き出された汚らしいスラング。

そう罵られれば、こちらにも非があるといえど腹がたつ。

しかもその男は短気のようで、あろうことかジョセフに早くどけと車のフロントをぶつけた。

それを見て思わずカッと頭に血が登り、男の顔を鷲掴んだ。

と、同時にジョセフも男の胸倉を掴んでいた。


「もしもし...失礼ですが貴方今なんておっしゃいました?もういっぺん言えるもんなら言ってみてください」

「通訳なしでわかるよーに頼むぜ?場合によっちゃブッ飛ばす!」

「ジョジョ!ミカエル!なにをしているのです?」


後ろから飛んできた声に、思わず肩を跳ねさせてジョセフと2人で振り返る。

後ろにいたのはスモーキーと、思った通りの人物。


「「エ...エリナばあちゃん/奥様!」」

「どうかして、二人とも...?その人になにをしているのです?」

「え......あ〜〜」

「こ、これはですねエリナ奥様......た、タクシー!タクシーですよ奥様!でしょう?ジョセフ!」

「!あ、ああ!そうですよエリナおばあちゃん!乗っけてってくれるそーです!」

「さあお乗りくださいエリナ奥様!」


嘘に気づかれないように車の扉を慌てて開けて、笑顔を浮かべれば、エリナ奥様は納得したように機嫌よく車に乗ってくれた。

その姿にジョセフと目線を合わせ、2人で胸をなでおろし、こちらを疑わしげに見ているスモーキーに向けて、口元に人差し指を当て助手席に乗った。


「さて、イタリアンレストランまでお願いできますか?ドライバーさん」

運転手への、笑顔の威圧は勿論忘れずに。


to be continue...