目の前で行われている戦いが信じられない。
吸血鬼やゾンビという存在もすでに信じがたいけれど
それ以上に、ジョジョ坊っちゃまとDIO坊っちゃまが命をかけて互いに殺し合っている真実が信じられない。
「(どうしてこんなことに…?)」
いつからこんな事態になってしまったのか
いや、最初からこうなる定めだったのだろうか。
私や、誰も、本人たち以外は気づかない、坊っちゃまたちの運命だったのでしょうか。
だとしたら、なんて、なんて悲しい奇妙な運命だろう。
「(けれどジョジョ坊っちゃまを死なせるわけにはいかない…坊っちゃまが今殺させてはいけないのは、火を見るよりも明らか…)」
そして、人であることを捨てたディオ坊っちゃまを、もはや人の世に残しておくこともできないのも、確かなのでしょう。
どんなに悲しくても、二つの星は元には戻れない。
「(ならば、私がするべき……できることは……)」
眼前に揺れる髪の中に瞬く星を見ながら、涙をこらえてぐっと顔を上げ、ジョジョ坊っちゃまの拳がディオ坊っちゃまを貫くのを見つめ、思い切り床を蹴り、血を吐いて苦しむディオ坊っちゃまの身体に体当たりをした。
「ディオ坊っちゃま…ッ!」
「ぐ、ぅぐ…!ミシェル先生…なぜ…!」
「…これが貴方とジョジョ坊っちゃまの先生としての、私の答えですわ…」
ジョジョ坊っちゃまも、貴方も大切だからこそ選ぶ答え。
「私も共に参りますから…どうか、もう静かに眠りましょう…坊っちゃま」
テラスの外に、ディオ坊っちゃまと一緒に身体が傾いていくのをかんじながら、微笑む。
そしてディオ坊っちゃまの中を溶かしていく、ジョジョ坊っちゃまの波紋エネルギーとやらに触れようとした時、思い切り身体がぐっと後ろに引き戻されるのを感じた。
「!?」
「ミシェル様…この男のために今、貴女を死なせるわけにはいきませんわ」
「ローラさん…ッ!?」
耳元の声に振り返れば、覚悟したピンクの瞳で微笑むローラさん。
驚くより早く、彼女は私の身体を掴み、私を遠心力でテラスに投げ戻して、そのまま代わりに、ディオ坊っちゃまの顔を掴んで抑えるようにして下に落ちていく。
「ローラさんッ!!!!」
「女!貴様ァ…!」
「貴方の先生は優しい先生ね…吸血鬼。だからこそ、貴方の死出の旅路に彼女は勿体無いわ」
to be continue…