星が二つ、夜空を駆けていったのが窓越しに見えた。
珍しいことに、少しだけ見入る。
「…(二つの流れ星なんて、流星群かしら…?)」
「ミシェル先生、どうかしたかな?」
「!ああ、すみません旦那様…流れ星が見えたので思わず気を取られてしまいましたわ」
住み込みの家庭教師(ガヴァネス)として私、ミシェル・ブラウンを雇ってくださっている旦那様、ジョージ・ジョースター様の方に視線を戻して謝罪をすれば
構わないよと旦那様は穏やかな微笑みを返してくれた。
お優しく誇り高い、紳士的な人格者。
私はこの方に見込まれ、旦那様の息子のジョナサン・ジョースター様ことジョジョ坊っちゃまの家庭教師として雇っていただけてることを、本当に有難いことだと思っている。
そんな旦那様から、急に部屋に来るように言われたのは夕食の時間の時であった。
一体なんだろうかと思いながら部屋に来て現在、一枚の紙を差し出された。
そこに記載された内容に少し瞠目する。
「…ディオ・ブランドー…?養子をお取りになられたのですか?」
「ああ」
「どうしてまた…」
「覚えていないかい?私と妻と息子が、馬車で事故にあった時に助けてくれた御仁の息子さんでね…
その御仁がこの度亡くなってしまって、息子の彼を引き取ることにしたのだよ」
「!なるほど…あの時、恩人と貴方様が仰っていた方の…納得がいきましたわ。そして私を部屋にお呼びになった理由も」
ディオ坊っちゃまの家庭教師も兼任すればよろしいのですね?
そう確信を持って問えば、満足そうに微笑んで旦那様は頷かれた。
「ミシェル先生、貴女はとても賢く、愛に溢れ高潔な精神を持ったこれ以上ない教育者だと私は思っている。そんな君にだから二人の息子を頼むのだ。お願いできるね?」
「旦那様の期待に応えられるように全力を尽くして、坊っちゃま方をジョースター家の名に恥じぬ誇りある紳士にしてみせますわ」
スカートの両裾を少し持ち上げて、深々と腰を折った。
to be continue…