ミシェル先生は、ジョースターさんをあんな素晴らしい紳士に育てた一人だ。
ジョースターさんにとって大切な家族と同じだから、俺も守ってやらなくちゃならねぇ。
これは絶対に絶対の誓いってやつだ。
「(にしても40過ぎなんて信じられねーぜ…)」
あんなにお若くって、知的で美人で、かわいい人が…ってなにを考えてんだッ!
「(貴族で既婚者の人になに考えようとしてんだ俺ァ…)」
これ以上考えちゃいけねえと、思い切り頭を振った。
***
ここ数日ジョジョ坊っちゃまが、例の不思議な人たちと波紋?というものの習得にいそしんでいる。
なぜ必要なのかとか、そういうことは知りませんが、波紋を悪い物だとは感じないし
ジョジョ坊っちゃまが習得なさりたいと強く願うのだから、きっと彼には必要なものなのでしょう。
「だから、ローラさんも坊っちゃまのことどうかお願いしますね」
ティーカップの中のお茶にミルクをいれながら、目の前の席に座る不思議な人の一人である、ローラさんに笑いかける。
「貴方の坊っちゃまのことは、うちの旦那様が見ておりますから平気ですわ」
「ふふ、そうですね。ツェペリ様…でしたわね?あなた方のことは何も知りませんが、信用していますわ」
「それなら良かったです…時にミシェル様、」
「なんでしょう?」
「…貴女は石仮面をご存知で?」
「石仮面…?」
ジョースター家にあったあの奇妙な仮面かしら、と思い返していると、ローラさんは視線を少し緩ませた。
「詳しくないのなら、それでよろしいのです」
「申し訳ありません…でもあの仮面がなにか?」
「…いえ、気になさらず。知らないのであれば、知らないほうがよいのだということかもしれませんから」
困ったように曖昧に、しかしどこか寂しげに笑った彼女は、あきらかに私よりも年下なのに、遥か年上に見えた。
「さて、私はそろそろ修行を見に行きますわね」
「…ローラさん、貴女は一体…」
「私はなんでもない…ただ貴女を心配しているだけですわ」
「どうしてそんなに私を気にかけてくださるんです?」
「…いずれわかる日が来ます。それでは」
会釈をして、ローラさんは去っていった。
本当に不思議な方。
どこか神秘の世界で生きている風な彼女は、一体なにを見ているのだろう。
「(でも、あの旦那様と奥様が買ってきたという石仮面がなにかあるのかしら…)」
確かに、少しの奇妙さと恐ろしさは感じていたけれど。
考えてもなにも知らない私には頭を捻ることしかできず、いつものように屋敷の廃墟に向かうことにした。
***
焼け跡を見つめていても、悲しみしか生まれてこないのだからやめなければいけない。
いつまでもここで立ち止まっていても私にはなにもできないのだから。
すっかり陽の沈んだ空、深く息を吸い込んできらめき出した星々を見上げる。
「…でも私は悲しいですわ、ディオ坊っちゃま…叶うならば、もう一度お話がしたい……」
「ミシェル様、その願い叶うと言ったらどうなさいますか?」
背後から聞こえた声に慌てて振り返れば、そこには東洋の人らしき男が立っていた。
to be continue…