信頼が欲しいと言われた。
意外な発言だと、そう感じた。
ラストは、俺と同じく他人を最深部にまで寄せ付けないタイプだと思っていたからだ。
「確かに私も同じ穴のムジナだけど、貴方なら信頼できる気がするのよ」
「だから俺もお前を信頼しろと?」
「そう」
「高慢で我儘だな」
「そっくりそのまま返すわ……それに、貴方も少なからず信頼できると感じたから私に声をかけたんじゃなくって?」
「……」
馬鹿な、と言おうとしても、言葉が出なかった。
図星をつかれたような、心臓をつかまれたような気がする。
言いかねていると、ラストがふと柔らかく目を細めて俺を見た。
「…私たち、結局はどこまでも同族なのよ」
「……」
「だから足並みを揃えた最高のパートナーにも、いがみ合うだけの最低の同族嫌悪にもなれる」
貴方はどうなりたいの?
そう問いかけて、指先で俺の髪をいじるラストの姿に、厄介な女だと思うと同時に、湧き上がる情熱を抑えられなかった。
「…俺を知りすぎるお前を敵にするのは厄介だからな…わかった。互いに出来る限り信頼を尽くそう」
「その言葉が聞けて良かったわ。私も貴方を敵にしたくないもの」
どうやら、俺の目に狂いはなかったらしい。
to be continue…
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