千切れそうな黒い悪魔の羽。
ふわりとした黒いプリンセスドレス。
ダークな魅力が光る黒いヒール。
片手には黒い薔薇のブーケ。
くるくると私の目の前で踊る、シルエットのような生き物?
私の影にくっついている。
「……これが私のスタンド、ねえ…あの売り飛ばした矢に刺されたら出てくるなんて、不思議なもんだわ。悪くない力だけど」
「無事に発現したことだし、俺のスタンドと同じく、呼び名が必要だな」
「呼び名ねえ……貴方のは、なんて名付けたんだったかしら?」
「キング・クリムゾンだ」
「キング・クリムゾン……ふうん、なかなか素敵じゃない。帝王っぽい感じがするわ」
悪くない、と言いつつ自分のスタンドを見る。
私の精神から生まれたらしい、いらない全てを拒絶して自分だけの空間を作れるスタンド…
未来の帝王様に少しだけあやかって…
「『ザ・コート・オブ・ザ・クリムゾン・キング』…は、どうかしら?」
「!…いいセンスじゃないか。悪くない」
口の端をあげてる彼は気づいてるんだろう。
まあ、知ってたらすぐわかるわよね。
「ふふ…素敵なスタンドも、お金もたんまり手に入って最高!こんなにたくさんのお金、初めて見たわ!!」
「まだだ。これは足がかりにすぎん。ここから増やして、揺るぎない地位を獲得するのだ」
「ふふッ…貴方とならやれそうな気がしてきたわ!貴方のナンパについてきて正解!大好きよ、××!!」
うかれた気分のまま名前を叫んで思い切りハグをすれば、上から「ディアボロ」と聞こえた。
「ディアボロだ、俺の名前は」
「ディアボロ?じゃあ、××は偽名だったの?」
「そういうことだ」
「なにそれ、早く言いなさいよ」
「用心深いんだ、俺は」
「ふうん…まあ、犯罪するぶんにはいいことだけど。私は貴方に全面の信頼を置くんだから、貴方も私を信頼してくれなくちゃ困るわ」
信頼関係のないパートナー関係は、すぐに崩れるものだと指を突きつけて論じたら、目を見開かれた。
きょとんとした顔なんて、するのね。
ちょっと可愛い。
「信頼…?俺がお前を?」
「そーよ、信頼。私は貴方は帝王になると信じるし、私を裏切らないと信頼する。
だから貴方も、他の人は信頼できなかったとしても、私のことは信頼して。けして、裏切らないから」
私たちで潰し合うのは無意味だもの。
首に腕を回して目を見据えれば、少し戸惑うような珍しさが見え、小さく肯定の言葉が返ってきた。
信頼が、苦手みたいね。
人のことは、いえないけれど。
to be continue…
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