「ずるいわ!お宝を見つけるなんて!」
「どうせ俺の手柄にはされないだろうよ」
「わからないじゃない。給料が弾まれるかもしれないわよ」
一人でお宝らしいぼろっちい矢を発掘した彼に、不服を漏らせば呆れたようなため息。
みみっちいはした金なんか興味はないなんて、大口叩かれた。
なによ、金もらうためにバイトしてんだから当然よ当然。
「ラスト、飼いならされた犬のようなことを言うな」
「なによ、じゃあもっといい話があるとでも言うの?」
「あれがそんな宝なら、盗んで欲しがる奴に売ればもっと高い金になるとは思わないのか?」
「それは思うけど………って!あんたまさか……!!」
「言っただろう。上に立つ人間になると」
なんでもない風に言われた言葉に、ぞくりと寒気。
この男、本気だったんだ。
いやな汗が、頬を伝う。
「実際あの矢には、不思議な力がある…あの矢を欲しがる者はいるはずだ」
「……不思議な力…?」
「一度あの矢で傷を受けたらわかる」
「ふうん…」
「他人ごとみたいな顔をするな。矢を奪ったらお前もそれを手に入れるのだ」
「…は?私も!?」
「当たり前だ。俺が上に立つ人間ならば、ついてくるんだろう?」
成り金になる人間のような台詞に呆れたが、肯定以外は認められないだろうし
きっと肯定しなかったら、彼を知る私はここで殺されるんだろう。
それになにより、成り金のような一瞬の栄華でも、それでもいいかと思ってしまった。
同じような野心を秘めたこの男なら、きっと私にも確かな栄光をくれるだろう。
そんなことを、私は思ってしまった。
「………いいわ。貴方となら弱肉強食の頂点に立てそうだし」
「それでこそ、俺が目をつけた女だ」
「光栄よ、未来の帝王様。私も女王にして頂戴」
to be continue…
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