「なんなのこのコレクション」


「そういやラウラ…お前外食とかしたら丁寧に指紋やらは拭き取った方がいいぞ」

「あと店員が片付けるような店にはなるべく行くなよ、お前のために」

「…いきなりどうしたの?そんな、まるで私が暗殺者にでも狙われてるみたいなこと言いだして」


カウンターで食後の一服をするホルマジオさんとプロシュートさんから思い出したように言われた言葉に、思わず笑う。

まるで映画やドラマの中でしか聞かない言葉なんだもの。

でも、よくよく見ると2人の顔は真剣そのもので、思わず笑いも収まってきた。


「ただの暗殺者の方がマシだぜ」

「え、冗談だったのに…というか暗殺者よりやばいのに私狙われてるの!?」

「狙われてるだろ、メローネによォ…ま、俺にもか」


プロシュートさんの後半のセリフを流しつつ、首を振る。


「狙われてるかは別にして…メローネはただの行き過ぎた変態ストーカーだし、2人とも暗殺者よりましでしょ?」

「(…いやどっちも暗殺者だけどな)」

「(言うなよ。ラウラが失神する)…とにかくそのメローネの私物をたまたま発見したんだよ」

「メローネの…?なんかそれだけで怖くなってきた…さっきの話と関係あるの?」

「大いにな…見てみろ」


出されたのは、アルバムのような形の分厚い一冊の本。


「……なんだかこういうのストーカー事件系の番組で見たことあるよ?すごく嫌な予感がするよ?」

「残念だな。フィクションじゃねェ」

「ああああ、ちょっと開けないでええ」


中には想像通り、撮られた覚えのない遠目からの写真や、いつのだかわからない使用済みストローやら、いろいろなものが貼られていた。

正直に言わせて、これは鳥肌ものだよ。


「どうしようメローネって気持ち悪かったんだ」

「何を今更言ってんだよ、ラウラ」

「いやそうだけど!そうなんだけど!!」

「まあしかしこれは引くわな」

「そうそれ!」


まさかここまでされていたなんて、怖すぎる。

本の背表紙に、ラウラコレクションBと表記されてるのも怖すぎる。

まだ他にもコレクションがあるのこれ?

さっきから怖すぎるしか言ってないけど、ほんとにそれしか言えない。

怖すぎる。


「…だが、使用済みってのは響きがエロいな」

「…プロシュート……」

「プロシュートさんに今すごく私は幻滅しました」

「あ?なに敬語で距離感出してんだ。犯されてえのか」

「いひゃいいひゃい!」


ほっぺをつねられたけど、私は悪くないと思う。

ホルマジオさんが大変だなと頭を撫でてくれなかったらめげてた。

ていうか、メローネに次会ったらどんな顔したらいいの?


to be continue…
back