恋愛相談
「ごめんね。助かるよ、二人とも」
「いいさ、タダで料理食わせて貰ってたりするわけだしね」
「それに壊したのはうちのギアッチョだしな」
蹴倒された扉を、とんてんかんと軽快な音を立てながら直してくれる、後からやってきたソルベとジェラート。
申し訳なさとありがたさを感じつつ、彼らへのお礼のコーヒーと食事を用意する。
「これお礼がわりだから、終わったら食べていってね」
「ありがとう、ラウラ」
「いつも悪いな」
「いいのいいの、おかげで修理代が浮いたから」
相変わらず仲が良い二人に笑いかえしつつカウンターに戻って、次の仕事のグラス磨きを始めた。
「だが毎回こうも実害があるなら、ラウラもメローネと付き合ってやった方が大人しくなるんじゃないのかよ」
「実際どうなのさ?メローネとは」
「…ストーカーされてたのと、変態な相手に好きと言いたくないよね。普通に考えて」
「俺たちに普通を求めてる時点で、なあ?ソルベ」
「ああ…感覚が違うしな」
顔を見合わせたあとに、そう言ってくる二人に苦く笑う。
「だけど嫌いだって断言せずに、好きと言いたくないって言うことは、メローネのことはまんざらでもない?」
「!……まあまんざらでもない、というか感謝はしてるの。メローネと出会ってから人生が変わったのは確かだし…」
「へえ…」
「(まあそりゃあそうだろうな)」
「でも…そういう好きだとは違うと思うの」
「恋愛したことあるの?ラウラ」
「そ、それは……ないけど…」
「じゃあわからないじゃないか」
「で、でも、私の好みとは全く反対なの!」
とんとんと詰められていく質問を断ち切ろうと声をあげれば、今度は好みを問われた。
「私の好みは、そうだなあ…紳士的で、優しくて、真面目でずっと一緒にいてくれる人かな…」
「あー…たしかにメローネとは真逆だな」
「でしょう!?」
「でも好きになったら好みなんて関係ないもんだよ」
ね、と頷きあう二人の説得力はすごい。
だけど私は認めたくなくて、曖昧な笑みしか浮かべられなかった。
end
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