飢餓


もしもラウラが俺たちと同じチームメイト、いやギャング、最悪スタンドが使えるだけでもいいや。

もしも一つでも重なっていたとしたならだ。

そうしたら俺は、ラウラにもっと理解してもらえるんだろうか。

ここで、俺が一般人だったらなんて考えることは一切しないあたり、俺が自分勝手だとか独りよがりだとか言われる所以かな。

でも冷静に考えて見ろよ。俺が堅気より、ラウラがスタンド使いだったりする方が、まだ現実味があるだろ?


「否定はしねェが、んなこと言ったってしょうがねぇだろぉ〜?ラウラはあくまで一般人さ」

「恋人面の上に、センチメンタルにでも浸ってんのか?気持ち悪ィ」

「いや、主要な点はそこじゃあないんだよ。ラウラがもしスタンド発現した時に、パニック起こしたりしないかなって部分が重要なんだ。絶対にディ・モールト ディ・モールト可愛いからね!」

「けっ最低かよ」

「わかんないかなー…マトモな子を自分のとこまで堕としたいロマンってやつ」


にっこりと言えば、今度は総スルーされた。

相変わらず冷たい反応だ。気にするような繊細な神経は持ち合わせてないけども。

でも俺は最高にベネと思うんだよなあ。

パニックなのに、人には頭おかしくなったと思われたくなくて、誰にも言えずに築いてきたマトモなアイデンティティを不安で崩壊させていくラウラ。

一人で泣きじゃくったりするのかな?

もしかしたら苦しげにして吐いたりもするかもしれない。

あ、これは考えるだけでベリッシモ興奮する。会えない時のおかずにでもしよう。

うふふ、と思わず笑みを漏らすと後ろから深いため息。


「メローネ」

「ああ、リゾットか。仕事かい?」

「それもあるが…ラウラのことは、ほどほどにしておけよ。彼女は堅気だ」

「…別に余計なことは言ってないよ?ラウラも余計な質問はしないし」

「それはわかってる…だがな、お前彼女のためにかは知らんが、任務を口実に私怨を晴らしたろう。そういう真似は二度とするな」

「……ターゲットは、ちゃんとあの嫌な女から生まれたベイビィで始末したんだからいいじゃん」

「…結果論だろう」

「結果の世界だろ…萎えた。帰る」


せっかくいい気分だったってのに、今リーダーの説教は聞きたくない。

メタリカで強制的に黙らせられる前にと、さっと立ち上がりアジトのリビングを後にする。


「あーあ、ありゃ拗ねたな」

「しょうがねえ〜なああ〜…少々歪んじゃいるがベタ惚れなのは間違いねぇしなぁ」

「堅気のラウラに人殺したなんて言えないから褒められることも知られることもねぇせいか、まだモノにできないからな…案外きてたのかもな」

「……はあ…」


to be continue

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