旅路の供を
淀んだ視線を見返す。
血の滴る彼の愛刀の兼定からは、切なさが滲むように見えるのは、私の贔屓目か。
「…珠緒…」
ぷつと小泡を吐くように呼ばれ、その声が哀しくて、愛しくて、目を細める。
「…貴方のために死ねてなくて、ごめんなさいね」
でも次は大丈夫よ。
「次は、一緒に逝ってあげる」
prev
next
back