出身
日差しがきつい季節になってきてから、コルクがちょっとおかしい。

だるそうにしているというか、ばてすぎというか。

だから本部の医務室につれていくことにした。

どうしようもねえ変態だけど、あの人ならわかるだろうし。


「タンレイさーん、ちょっといいっすか?」

「あ?なんじゃ…クザン…と噂の隠し子か」

「……コルクです」

「………残念。萌えっ子キャラでは無いのう。やっぱりアヤたんじゃな」

「俺を目の前にしていろんな意味でやめてくれません?」

「なんじゃ、娘を趣味じゃ無いと言われて怒ったんか」

「いや逆に趣味って言われたら今すぐ別の医者あたりました」


サカズキと同じ言葉遣い、ガチムチ体系で変態発言を悪びれなく連発するこの眼鏡軍医。

ほんとうにサカズキの双子の兄なのか、たまに怪しくなる。

なんなんだ、アヤたんって。


「で、わざわざ娘連れてどうしたんじゃ」

「ああ、最近コルクがすごいバテ気味で…ちょっと診てもらいたいんですよ」

「夏バテか?いいじゃろう。小娘、診ちゃるからこっちにこい」

「…」


不安なのか俺の顔をじっと伺うコルクを促せば、仕方なさそうにふらつきながら診察室へ向かった。


***


「やっぱり夏バテじゃな」

「夏バテ…じゃあそんな病気とかじゃないんすね?」


診察室から出てきたタンレイさんからコルクを受け取り、病名を聞けばそんなに重い病ではなさそうで少し安心した


「まあ今はまだ軽度じゃが、ほっとくと熱中症になるけェ暑くなり出したら注意するんじゃな」


バカでもわかる対策マニュアル。

これが処方箋だと渡されたんだけど、雑くね?


「聞けば一年のほとんどが雪に埋れた冬島の生まれらしいしのう。余計に暑さに弱いんじゃろうな」

「冬島…そうだったの?」

「…うん…」


熱っぽい顔で小さく頷くコルクに、俺はまだまだこの子を知らないんだなあと息を吐いた。


「…迷惑かけて、ごめん…パパ…」

「そんなこと気にしないの。家帰って身体冷やして休もうか」

「…うん…」


力無い返事をするコルクに、能力を駆使してやろうと決意した。


prev next

bkm