パパが帰ってくるまでもう少し。
早く帰ってきてくれないかな。
パパがいなくても生きていけるけどやっぱり寂しいから。
「…おい、コルク」
「…赤犬さん…」
「能力は制御できるようにはなったんか」
「…ある程度は」
「…そうか。なら獣型になって見せろ」
……なんで?
眉間にしわを寄せると、無言で赤犬さんは私以上に眉間に皺を寄せてきたから、渋々獣の形をとる。
満足したかと鼻を鳴らせば、もにっと前足を触られた。
ぎょっとして赤犬さんを見下ろすと、わしわしと私の足を掴んで揉んでいる。
どことなく嬉しそうだから余計に気味が悪い。ぞわぞわする。
「………」
「肉球は普通の犬っころと変わらんのじゃな…ぷにぷにか…フフ」
…どうしよう この赤犬さんいつもより別の意味で怖い。
そろっと後ろに下がろうとすると、より強く掴まれた。
「逃げるな」
「…くぅん」
誰か来てくれないかな。
肉球や前足を別に好きでもない人に怖い笑顔で触られてるのは正直、いやすぎる。
これがふぇち、というやつなんだろうか。
「毛もふかふかじゃな…やっぱり動物はええのう…」
「(だき、つかれた…!!)」
パパ、やっぱり早く帰ってきて。
パパの同僚のおじさんたち、変なのばっかりだから怖い。
***
「……ママ」
「あら、コルクちゃん…?どうして獣型に…それになんだか毛並みがいつにも増して綺麗になりましたね。梳いてもらったんですか?」
「…ここ変態ばっかりだよ、危ない」
「?」