留守番
「いってくるね、コルク。速攻終わらせて帰ってくるから」

「……いってらっしゃい」

「お土産買って帰るからね」


***


今日から数日、遠征のパパを見送ってから息を吐き出す。

孤児院で留守番だから、ママや他の子はいるから一人じゃないけど、パパがいないとやっぱり変な感じがする。

落ち着かなくて、鍛錬場に来てしまった。


「…パパ…」

「おやァ〜…コルクちゃん発見〜」

「!」


聞こえた声にぴっと振り返れば、相変わらず、苦手な笑顔の黄猿さん。

パパの頭を蹴り飛ばされてから、なんとなく苦手になってしまった。


「こんなとこにいたんだねェ〜…アヤちゃんとファナが心配して探していたよォ〜?」

「…そうですか…」

「……クザンにもう会いたくなっちゃったァ?大好きだねェ〜」

「……たった一人の、パパだから」


何故か隣に座ってくる黄猿さんに落ち着かなくなりながら答えれば、そっかァと頭を撫でられた。

思わず身が固くすると、黄猿さんは苦笑。


「そんなに警戒しなくていいよォ〜…とって食おうってわけじゃねェんだからなァ」

「…」

「ただコルクちゃんを見てるとねェ〜…わっしも子供がなんとなァく欲しくなるねェ」

「ママとは、ダメ」


フォークで刺すように手早くさっくりと言えば、察しがいいと笑われた。

馬鹿にされている気がして、気分が落ちてむっつりすると、遠くからママの呼ぶ声。

ベンチを降りて、黄猿さんに敬礼してから早く離れたくて走る。


「気をつけるんだよォ〜」


それは、貴方にだろうか。


***


「コルクちゃーん!どこですかー?」

「…ママ」

「あ、コルクちゃん!こちらにいたんですか…無事でよかった…」

「…ママ、気をつけてね」

「え?」


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