▽ 05
「ボルサリーノ、サカズキ…いくらなんでもやりすぎだ」
「「…」」
荒野にした訓練場で、後輩二人と説教を食らう。
ここまでやるつもりはなかったが、やってしまったから仕方ない。
「それに能力をつかうのは禁じてたはずだぞ…まあそれはクザンにも言えるが…」
「いや、正当防衛ですって。先輩達もロギアとか聞いてないし」
たしかに後輩たち相手に自分たちも熱くなりすぎたとは思う。
だが、 能力を使わねば危なかった。
クザンというやつのほうは、同じくロギア系の能力者だったからというのもあったが
ネメシスという女は、ただの訓練生の強さではなかった。
「…(なんだ…この女)」
「…ネメシス、お前もお前だ。相手を無駄に煽るな」
「能力が見たくてつい」
わずかに汗を流しながらも、すっと背を伸ばした姿勢で相変わらずへらへらした笑顔をしている。
ゼファー先生は、見兼ねたのかネメシスの頭をボードではたいた。
「笑っていうことか!当たったら死んでたかもしれないんだぞ!」
「…無謀だったとは思います。ですが、実戦のための訓練である以上
私は実戦の際と同じく、敵の本当の実力を推し量ろうとした上での行動です」
戦場だと相手の能力を知らなかったら危ないので、と堂々と宣う。
肝が座っているとかいうレベルではないと思うと同時に、本当に自分が踏み台にされたという事実に腹が立つ。
「(気に食わん…)」
「ネメシス、お前は少し自分を抑えろ!外周100周してこい!」
「…はーい」
軽い返事を返し、ネメシスは走っていった。
「…(ネメシス、あいつ…)」
「変わってますねェ〜…」
「先生…なんなんですか、あいつは…武装色も、もう発現させちょりましたが…」
能力発動した状態のわしに、真っ向からぶつかってきた。
まだ訓練一年目の分際で、まだおそらくは未完成の武装色、見聞色を駆使して。
「……お前らと同じ、実力のある問題児だ」
グレているより性質が悪い(それからお前らも外周100周いってこい)
(え、)
(わっしらもですかァ〜?)
(何故…)
(当たり前だ。訓練場をボロボロにした罪は消えてねェ)
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