▽ 09
「…ご指導よろしくお願いします」
「…チッ」
「可愛い後輩の顔久々にみて、舌打ちはないとおもいますよサカズキ先輩」
こっちはいやいやながらも、しっかり敬礼しているというのに。
同じ部隊に配属にされた以上、挨拶だけはしてやるかと決めたから。
まあ尊敬の念はゼロだが。
「なにが可愛い後輩だ…面倒な後輩の間違いだろ」
「あ、標準語にしたんですか?すごい似合わないですね」
「ぶっとばすぞ」
あのなまりの方が顔に似合っていたけど、海兵になって矯正したのかしら。
「あ、もしかして怖すぎて民間人に泣かれたんです?」
「(…こいつ…いつかぶち殺す)…とにかく、貴様の行動が目に余るのはわかっている。
俺と同じ部隊になった以上、勝手なことはさせないからな」
「いや行動が目に余るとか先輩に言われたくはないです」
「それからそのへらへらした気色悪い顔もやめろ。腹が立つ」
「(…この先輩…いつか殺すわ)…顔は結構整ってるはずなんですがね」
「安心しろ、俺からしたらお前はさして綺麗じゃない」
「安心しますね、先輩に綺麗とか言われたら言われたで死ぬほどキモいんで」
「……」
「……」
互いの沈黙の後、部隊に所属された初日から、無言の殴り合いに発展したのは言うまでもない。
上の人たちに止められて、二人並んで丸一日道場で正座をさせられたけど
サカズキ先輩と私を、同じ部隊にした人事が悪いと思うわ。
***
「…それなのに今では戦場のコンビネーション最高だからすごいよねェ〜君らはァ〜」
「私が合わせてあげてるんですよ、仕方なく」
「…俺が合わせてるんだ、馬鹿が」
「仲は相変わらず最悪なのにな」
本部勤めを始めてしばらく、影では化け物四人組と呼ばれてる腐れ縁面子で、パブで酒を片手にだらだらと会話を交わす。
「だってサカズキ先輩、隙あると海賊ごと私を始末しようとするから動きがわかるんですよ」
「お前もじゃろうが」
「(なにこの二人の部隊怖い)」
「嫌いだからこそ腹がわかるってやつかねェ〜」
ボルサリーノの言葉に、ひどく不本意そうな空気を発しながらも、そういうことだとうなづいた。
期待の若手4人組(サカズキ先輩を殺すのは私)
(ネメシスを殺すのは俺だ)
(…なんか一周して新手の愛の告白に見えてきた)
((は?))
(ごめん悪かったから鬼みたいな顔しないで)
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