「…大丈夫かい〜?」
「え…」
「今日は随分と上の空なもんだからねェ〜」
「あ、すみません…なんでもないんです」
にへっと誤魔化すようにわらって、慌ててレジ打ちをする。
まさかヤクザのおじ様の前で上の空になって手を休めてしまうとは。怒られなくてよかった。
「…ならいいんだけどもォ…一人で頑張るもんじゃねェよォ〜?」
「…わざわざどうもありがとうございます」
「…ショウガンちゃんが元気ねェと、わっしがコンビニにくる理由の一つがなくなっちまうからねェ〜」
「えっ…?それどういう…」
「じゃあまたねェ〜」
私の言葉を遮るように、お決まりの買った商品を持って、ヤクザのおじ様は行ってしまった。
「…(…どういう意味だろう…今の…)」
私の元気がないと、くる理由が一つなくなる?
ただのレジ打ちとお客様の関係なのに、なぜ?
首をひねり考えつつも、いまいち真意を掴めない。
「(とりあえず元気出せ、ってことでいいのかな?)」
それは間違いないかな、と思っていいだろうと考えると、少しだけ気持ちがほっこりした。
怖いヤクザさんではなく、おじ様はいいヤクザさんなのかもしれない。
一言でも、救われる
(私の中にある不安に気づいてくれた。その事実がとても嬉しくて)