カリカリ…


「…(こうして、私と黄色のおじ様、もといボルサリーノさんは…)」

「何を一生懸命書いてるのかなァ〜、『アヤ』」

「ひゃっ!」


後ろから覗きこんできたボルサリーノさんから慌てて日記を閉じて隠す。


「へ、部屋に入る時はノックですよ!」

「おォ〜…ごめんね〜…呼びに来たらアヤがかわいいことしてたからァ…ついねェ〜」


屈んで私の肩を抱き寄せ、誤魔化すように瞼にキスをしてくる。

私を甘やかせばいいと思ってるんだから、この人は。

…実際そうなんだけれど。


「でもォ…日記を書いてるなんて…何を書いてたんだい〜?」

「…それは女の子の秘密ですよ。ところで呼びにきたんじゃないですか?」

「あァ〜…お茶が入ったから一緒にどうかなァと思ってねェ〜」

「まあ、そうでしたか…じゃあ最後の一文を書いたらすぐに行きますね」

「やっぱり見せてくれないのかァい?」

「ふふ…恥ずかしいからダメです」


背中をぽんぽんと押せば、諦めてくれたのか、先にリビングにいってくれた。

それを見届けて、再び日記に向き直り、開く。


「さて…」


さらさらと、残りの文章を綴り、軽く手で乾かしてから

紅茶のいい匂いのするだろうリビングに向かった。



閉じた表紙にキスを

(こうして、私と黄色のおじ様、もといボルサリーノさんは…)
(この書きかけた続きは、きっと貴方にはもうお分かりになったことでしょう)