「…つまり、全部ずっと前から知ってたんですか?」

「まあ、そういうことかなァ〜」


目が覚めたら警察署にいた私は、あったかいココアを入れてくれたボルサリーノさんから、事の真相を聞いた。

そうしたらボルサリーノさんは、何も知らなかった私と違って、前から全て知っていたという。

私が自分の友人の赤犬さんの養子であるのも

ストーカー被害にあってるのも

知ってて何も知らない風にしていたその事実に、少し腹が立ち、じとりとボルサリーノさんを見る。


「そんな目で見ないでほしいねェ〜」

「…どうして言ってくださらなかったんですか」

「ん〜…ストーカーについては証拠がないと捕まんないしィ〜…余計な危険に合わせたかもしれないからねェ〜」

「…ストーカーの件はわかりました…でも他のことはなんで…」

「…個人的に好きになって欲しかったからかなァ?」


サカズキの同僚と言ってしまったら、養父の同僚におさまってしまう気がした。


「一人の男として好きになって欲しくてねェ…長々とコンビニに通ってたんだァ」


そう苦笑して、ほおを撫でてくる大きな手にまた顔が熱を持つ。

なんだろう、酷い人なのに。

この人の長い作戦に私はまんまとはまってしまったんだ。


「騙すような真似してごめんねェ…でもアヤちゃん、わっしが好きになれたでしょ〜…?」

「…ほんとにボルサリーノさん、反省してます?」

「ちゃんとしてるよォ。だから責任とって幸せにしてあげるねェ〜」


疑問形ではなく、確定。

でも、それに対して文句もでない私は、やっぱりもう落ちてる。


「…もう隠し事はなしですよ」

「うん。もうしないよ…これでも好きな子は大切にするからねェ」


そう言って落とされた口づけに、全て許してしまいそうだった。


言葉の結びは

(ボルサリーノめ…ッ)
(サカズキ、今いったらあとでボルサリーノにネチネチ恨まれるよ)