「燃えないゴミの日だったからよかったものの…お前のせいで捨てるゴミ増えたじゃん」

「違うわ、クザンがあんなとこに置いとくから割ったの」

「ああ言えばこう言う」

「は?なに?それ新しい自虐ネタ?」


今日もローテンションに言い合いをしながら、二人はゴミ袋を引っさげて、通学路にあるゴミ捨て場に歩いていく。

すると、先にゴミ捨て場にいた近所のおばさんが、挨拶をした二人を見てにっこりと笑う。


「貴方達いつも仲良しさんねェ。恋人なの?」

「「!!?」」


この日の二人の気分が、下降気味になるのが一言で決まった。


***


「…なんじゃ、久々にきてみれば…通夜かこの二人は」

「誰か死んだのォ〜?」

「あ、サカズキ先輩、ボルサリーノ先輩…お久しぶりです」


夕方。クザン、ネメシス、アヤが加入しているサークルの部室に卒業したての先輩2人がやってきた。

しかし室内は、クザンとネメシスの2人によって暗く淀んでいた。

その中でアヤは困ったような、苦笑気味の表情で、大きな身体を丸めるクザンの背中を撫でている。


「…なんだ、先輩らか」

「人を見るなりなんちゅう言い草じゃ、おどれは」


ネメシスは入ってきた先輩2人を、主にサカズキを見るなり、明らかに沈んだ空気をまた一段階下げた。

ここの二人の気質のあわなさによる不仲は、今は特記しないでおこう。

とにかく、サカズキとネメシスは合わないのだ。

そんな空気を変えようとボルサリーノが本題の疑問を提示した。


「で、結局なんで二人はそんなに沈んでるんだァ〜い?」

「…私は朝からひどい目にあいました」

「君がそんな真面目なトーンで言うほど?珍しいねェ〜」


その言葉に、深く息を吐き出すと同時に言葉を零す。


「だってクザンと恋人に間違われたんですよ?この世の終わりだわ。クザンと恋人になるくらいなら無機物と恋人になります」

「(私…付き合ってるんだけどなあ)」

「お〜…なるほどねェ。理由と気持ちはわかるけど、アヤちゃんの前でボロクソだねェ〜」

「?私の見解と、アヤちゃんの見解は別物でしょう」

「でもルームシェアしてて、仲良しですよね…」

「え?」


ミシィ


「ひっ!」


ネメシスの手の中で、箸が嫌な音を立てた。

それに少しだけアヤが少し顔を青ざめさせた時、同じく落ち込んでたクザンが、不機嫌そうに自分より何倍も小さなアヤを抱きしめる。


「おいおい、俺のアヤを脅迫するのやめて」

「脅迫?誤解をといてるだけよ」

「怯えてるでしょーが。それにそもそも誤解もなにもお前と仲良しとか願い下げだし!」

「あら同意見よ。良かったわ」

「(不思議な関係です…)」


憂鬱な火曜日

(大体、俺にはアヤっていうこの世界一かわいい恋人がいんのッ!!間違ってもこんな女の形した地球外生命体なんかじゃッ…)
(キャトルシュミレーションでもして、内蔵ひきずりだしてあげましょうか?)
(ほら!発言が女じゃねーよ!)

(やっぱり仲良しなんじゃ…)
(アヤ、やはり別れたらどうじゃ?あの就職先も決まらん女たらしは相応しくない)
(え、)
(アヤちゃんにはもっとしっかりした大人の男が相応しいよォ〜)
(ちょ、先輩らやめてくんないっすか!?)