週の始めは、どうしてこうも身体も気持ちもだるいのかしら。

正直学校が終わった今、直帰したいけど、空の冷蔵庫の中身を買わずに帰ったら、今晩中に、私はクザンと飢え死ぬことになるでしょう。

それは心から避けたいわ。


「…仕方ないわね」


校門に行きかけた自分の足の進行方向を変えて、新たな目的の場所に歩く。


***


キコキコ


「クザン、早くしないとタイムセール始まるわよ」

「…その前に、お前後ろにのせて自転車こいでるのが俺は解せないんだけど」

「簡単な話じゃない。私が、スーパーに歩いていくのも自分で漕ぐのもだるいからよ」

「ネメシス、お前暴君って言葉知ってるか?」

「知ってるけど何?」

「……もういいよ、めんどくさい」


腐れ縁の相変わらずの暴虐無人っぷりに、もはやため息しかでない。

こいつに口で勝てた試しないし。

やりあうだけ無駄なのは身に染みている。


「…でも、なにも人が女の子と話してる時に乱入してこなくてもよくない?」

「あら、浮気を直前防止してあげたんだから、感謝して欲しいくらいだわ」

「浮気なんかしないって」

「そう言って貴方、好みの子に迫られるたび、アヤちゃんを何回泣かせたかしら?去年一年で」

「………」

「さっきも飛びいらなきゃ、キスの要望にお答えしてたでしょ」

「…やめてよ」

「次浮気したら、今度こそ貴方別れ話よ」

「だから、やめてくんない?それ以上言うの」

「忠告よ忠告」


恋愛に見向きもしてない癖に、男女の機微がわかるとでもいうのか。

仕方ないじゃん。おっぱい大きくてかわいい子に一回だけでいいとか言われたら仕方ないじゃん。


「クザン。貴方絶対、アヤちゃんに別れましょうって言われるわ」


内心のふてくされた感情がばれたのか、後ろからかかる聞き飽きた不吉な言葉を聞こえないフリをして自転車を漕いだ。

変なところで、うるさい奴だ。



気だるい月曜日

(タイムセールで安く豚肉が手に入ったから、今日は生姜焼きがいいわ)
(あれ?今日お前の当番だよね?)
(今日他の子とキス直前だった件、アヤちゃんに黙っとくで1クレジットよ)
(…はあ…わかったよ)