子供たちの賑やかな声に心が穏やかになる。
この前22歳の私の誕生日がきたから…孤児院ができてから半年も経つ。
子供たちも半年で、随分と増えた。
「(ここの子供たちの役に少しでも立てているなら嬉しいな…」
「アヤさん!」
「あら、ミンツェ君…」
「クッキー焼いたんすよ!食べません?」
「まあ…是非いただきます」
最近ここに来たばかりのミンツェ君の元気な姿に嬉しくなる。
来たばかりの時はとある事件のショックで塞ぎ込んでいたのですが
行きつけのレストランのバラティエに連れていってみてから、少しずつ元気になってくれて…いい刺激になったようで、本当に良かった。
「そうだ、お茶を淹れましょうね」
「あ、俺がやるッスよ!ロイヤルミルクティーッスよね」
「覚えててくれたんですか…じゃあお願いします」
…ここにくるまでにそれぞれが心に負った傷や刻まれた悲しい記憶は、私には綺麗に癒すことはできないけれど
ここで少しでも楽しい幸せな記憶を重ねていって、それぞれが生きていく糧にしてくれたらと私は願っています。
***
「…ああ、この前は急に行ったのにありがとうございます…サンジ君にもありがとうございますとお伝えくださいな……ええ、また近いうちに食べに行かせていただきます」
では、と軽い挨拶を済ませて受話器を置いて、真っ白い私用の電伝虫の身体を撫でた。
「いつもお疲れ様です、でんちゃんさん」
「電伝虫にでんちゃんって名前つけてるのかァい?」
「!あ、ボルサリーノさん…どうなさったんですか?」
後ろから声をかけられたと同時に、電伝虫を撫でた手に大きな手を重ねられた。
首だけ上を向けば、優しく目を細めて見下ろしてくるボルサリーノさん。
「今日は早く終わったからディナーでもどうかなあと思ってきたんだけどもォ…相変わらずものに名前付けるの好きだねェ〜」
「だって電伝虫は生き物ですし、私の一番の仕事の相棒ですから…大事にしてあげないといけませんよ」
「ふぅ〜ん…」
「…でもボルサリーノさんはまず、黒電伝虫ちゃんと使い分けるところからですね」
「ん〜手厳しいなァ〜…あれややこしいんだよォ〜」
それよりもお腹すかないかい?と、ごまかすような言葉と一緒に、身体を簡単に片腕で抱えられる。
「もうボルサリーノさんったら…」
「…電伝虫の話はまた今度聞くよォ〜…だから今はアヤちゃんとディナーデートしてェなァ〜…だめかい?」
ちゅ、と私の手の甲にキスをしてそんな風に言われたら、わかりましたとしか言えないからずるい。
「何が食べたい〜?」
「それじゃ…シチューが食べたいです」
「シチューかァ〜…わかったよォお姫様」
博愛の時間
(電伝虫をもう少し理解してあげてくださいね)
(んー仲良くはしてェから、今度アヤちゃんが教えてよォー(あのかたつむり見てるとエスカルゴ食べたくなるってアヤちゃんにいうのはやめとくかァ))
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