「…というわけでな、情報伝達部に腕が立つ将校を側近で入れようと思うんだが、誰かいいのはいないか?」
会議が始まってすぐ、私の部下の議題になり、皆さんがそれぞれ顔を見合わせる。
その中でぴしーっと手が上がった。
「はい!!俺でよければ喜んで部長の部下に…」
「「「却下」」」
「ああん、即時却下!!ひどい!!」
「み、みなさん…」
私の隣にお座りになられているサカズキさんたちが、ロスさんが言い切る前に一蹴したのを見て、流石にと声をかけたら
あいつの扱いはこれでいいんだと言われた。
「だいたいあいつねェ、全てを掛けてアヤちゃんを護れるほど強くないからァ」
「ひど!!センパイらが化け物だから俺が霞むんすよ」
「あんな失礼な感じだから問題行動のが多いしさ」
「な、なるほど…」
ぶーぶーと文句を放つ声をBGMで聞きながら頷いた。
「まあ…アヤの部下には向かないのはその三人の言うとおりだ。それにロス、お前の配属先はすでに決定してる」
「え、そうなんですか?」
「ああ、黄猿のところだ」
「ええー…つまんねってぎゃあ!!」
「センゴクさァん…わっしこんなのいりやしませんよォ〜」
一緒でテンションが下がってしまった正直すぎるロスさんの足元に、涼しい顔のボルサリーノさんのビームが撃ち込まれた。
だいぶ不機嫌なようで、ぴりぴりした空気が伝わってくる。
そんなにいやなんですか、ボルサリーノさん。
「仕方ないだろう。中将達では手綱を握りきれんし、青雉のところではダメが二乗になるだけなのは目に見えているし、赤犬のところでは、一日も保たずして灰になりかねん」
「センゴクさん待って。ダメが二乗って流石に泣きますよ俺。ロスほど酷くないんすけど」
「ん〜…まあそういうことならァ〜…なるべく殉職させねェように努力しますけどォ…」
「あれ?ボルサリーノまでちょっと俺のことに関して無視??」
ロスと一緒にするとか酷い、とのそのそ近づいてきたクザンさんだったが、間にいるサカズキさんに頭をはたかれた。
「アヤに絡むんじゃあない、ダメ男が」
「お前だってダメじゃねーのサカズキ!!アヤにプライベートの時だけ名前呼ばせやがって!むっつり!!」
「誰がむっつりじゃ!この女好きのサボリ魔がァ!!」
「お、落ちついてくださいな赤犬さん、クザンさん!」
まだ事件のほうを引きずってるのか、いつも以上に仲の悪いお二人の間に入れば、ぐっとお二人は私の頭上で押しだまった。
「(ほっ)」
「…とにかく、これに関しては決定事項だ。それよりもアヤの新たな部下の方だ。適任だという者はいないのか」
静まった会議場にセンゴクさんが声をかけると、ある一人がゆっくりと手を上げた。
「モモンガ中将…誰か適任だと思う者がいるのか?」
「一人…准将に推薦しようとしていた者ですが…前々からアヤ部長のお考えややり方に強く傾倒し、実力も申し分ないのがおります」
「!ほんとですか…?」
『慈愛ある正義』
甘いと言われる私のこの考えに賛同してくれる方がいたことに、驚きと同時に喜びが湧き上がる。
「…それはどんな男なんじゃ」
「なんと言いますか…実直な男ですよ」
「とりあえず呼んでみたらァ〜?見ないことにはわからねェしよォ〜」
ゆったりしたボルサリーノさんの提案に、皆さんも頷く。
それを見てモモンガさんが立ち上がった。
「ではすぐに連れてきます」
「お願いします…」
どんな人なんだろう、と期待を胸に待つことにした。
部下探し
(私に賛同してくれてるなんて…)
(…きっと軟弱そうなやつじゃな)
(!…赤犬さん…)
(サカズキったらなんでそんな意地悪なこと言うかな)
(ふん…事実じゃ)
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